あの夏で待ってる 第3話「先輩が言っちゃう…」 感想!
面 白 す ぎ ワ ロ タ
タイトルセンス
サブタイのセンスがやばいです。
今回のサブタイは「先輩が言っちゃう…」ですが、これ、「せんぱいがいっちゃう」と声に出して言ってみると「先輩が行っちゃう」に変換されるのですよね。「先輩が言っちゃう」というのは、別におかしくはないものの、日本語的にどうも違和感が残る文ですから。近い違和感が、外国語学習の初期によくあります。「This is a pen.」という有名すぎる文がありますが、これってよく考えてみたらおかしいですよね。日常生活のどこでこんな文を使うんだか皆目不明です。
「先輩が言っちゃう…」はそんな感じで違和感バリバリの文であり、しかし違和感が強いからこそ、視聴者は意識してしまいます。前回の次回予告の時点で「先輩が言っちゃう…」を一瞬で一字一句覚えた視聴者は多いのではないでしょうか。
そして、こんなサブタイをつけるくらいですから、第3話で「イチカが何かを言う」事が分かります。しかも「言っちゃう」ですから、何かしらうっかり的な要素があるでしょう。……という事を視聴者はどうしても意識してしまうので、場面一つひとつを注視し、いったいサブタイの指す場面はどこなのだろう、と耳をダンボにします。まぁ、全員が全員そうではないかもですが、少なくとも僕はそうでした。
そして「先輩が言っちゃう…」部分は、ラストのラストに訪れます。
「もしかして私だったり~」ですね。
僕は「キター!先輩が言っちゃったー!」と興奮したものです。海人がせっかく上手く流れに乗せて隠した事を、正解を言っちゃった訳ですね。
タイトルがこうでなければ、ここまで注目してしまう事はなかったでしょう。今回の一番大事なところを、視聴者に一番見て欲しいポイントを、しっかりこちらの眼前に誘導してしまう、とんでもないサブタイでした。
以前のサブタイも、その短い文だけでセンスが溢れており、なんだか脳みその「文学」を司っている部分がすげぇ気持ちよくなります。
次回のサブタイも「先輩はすごかった」と、これまた意味深でセンスがあって頭に残りやすいタイトル。脱いだらすごいのか、先輩の出生がすごいのか、それとも先輩の行動がすごいのか、またしても注目してしまいますね。作り手のマジックにまんまと引っ掛かる僕でございます。
「先輩」を必ずつけているところもいいですね。ラグりんの「鴨川」より説得力があります(ぇー
ちなみに、黒田洋介が全話脚本(たしか全話だよね?)なのでタイトルも彼考案かなぁと思っていたのですが、どうも『あの花』のサブタイとセンスが近いように感じます。もしかしたらタイトルは長井龍雪がつけているのかも知れません。
まぁ、その辺はもしかしたらアニメ雑誌とか見たら分かるかもですけどね。誰が考えているかはあまり重要ではないか。
EDのセンス
とうとうEDがフルで放映されました!
今までの長井EDで感じていた、「うおおおすげえええええ」ってのはなかったですが、やはりすげぇ面白かったです。
僕が注目するのはサビで回転する5人と、常に回転している星。
長井龍雪が作るEDには、ときどき「回転」が使われます。
初監督のハチクロ2は見てないから分からないけど、次に作った『アイドルマスター XENOGLOSSIA』のEDでは天海春香がくるくる回転していました。
『機動戦士ガンダムAGE』のEDでは、エミリーが回転しています。無重力空間でぷかぷか浮いているだけにも見えますが、後ろ回りに少し動いているので、アイマスの春香と同じ流れで「回転」しているでしょう。
『あの花』EDで小さいめんまがくるりと回転するのも、含まれるかな?
特に意味を持たせている訳ではなく、単なる映像演出上の回転(見て面白いだけ)だとは思うのですが、夏待ちの星の回転は「狭い世界」を表現しているのかなぁと思いました。
星は、登場する全ての場面でプラネタリウムのように回転しています。その半径は極めて狭いのですが、本来星というのは途方もない遠くにあるもので、ああは回転しません。
だから、5人を取り巻く世界が、5人の手の届く範囲がこの作品の世界なのだと、このEDは言っているような気がしました。
ただの僕の妄想ですけどねw
とにかく面白いEDでした。長井龍雪は特定の色を割り当てて強調する事が多いですが、ここまでその色1色なのは珍しいですね。
そして本編のセンス
めちゃくちゃ面白くてびっくりしましたw
というのも、2話が普通だったのです。面白さのレベルが10点中5点とかそういう事ではなくて、2話の作り方がとても普通でした。あまり盛り上げようとしなかったし、一番の見せ場であろう酒盛りのシーンも「何か深い意味があるのか」とか思ってたけどそんな事はなかったし、ストーリー的にも通過点という感じがしました。ラスト数分でいろいろな情報が詰め込まれて「うおお」となりはしましたけどね。映像もあまり遊んでなかった。まぁ映像については、1話からあまり遊んでないですけど。
本当に2話は通過点でした。というか跳び箱の踏み台でした。
「諸君らも飛び上がる時、一度身をかがめるだろう? よろしい、今がその時だ」by杉井光
2話の展開を受けての第3話、もう面白いというレベルではありません。なにあれすごいよ。
脚本からもうとんでもないですね。
黒田洋介好きだけど、ここまでエッジの効いたセリフ連発する人だっけ。うん、思い返してみればそんな感じだw
柑菜妄想シーンの「後ろから……」「前からー!」などなど笑えるところもセリフが面白くて気持ちいいし、美桜の「他人の恋路を邪魔したら蹴られる」のくだりなんてケレン味溢れすぎて脳内物質分泌しまくりだし、海人とイチカがバッタリしてあとの流れは最後までとんでもないクオリティだった。
「お互いが勘違いしたまま話が進む」というのはよくある作劇ですが、ここまで面白いのはなかなか見ません。「振られたんですよ!?」で「どうも話がおかしい」という流れに突入するのも、視聴者としては「いつこの空間が破裂するのか」とハラハラワクワクしているので気持ちがいいし、最後の「先輩が言っちゃう…」ところはもう言うまでもないですよね。
この辺は映像でもかなり遊んでいるような感じがしました。1話から使ってはいたものの、海人がここにきてカメラで人を映し始めたからですね。少しキャラを遠景気味に映し、綺麗な背景を際立たせる作りも相変わらずです。
その他、1話と並ぶレベルで面白いカットが目白押し。何これすげぇ!と思いながら見てましたが、絵コンテは鈴木健太郎という方。わりと新人さん? 『神様のメモ帳』や『ワーキング』2期で絵コンテ切ってますが、いちいち細かい絵作りなんて覚えてねぇや。
今回は海人があの変な発作を起こしませんでしたね。
というかそもそも発作なんでしょうか。発作なのか、副作用なのか、拒絶反応なのかであの症状の本質が変わってきますが、僕は拒絶反応かなぁと思っています。
ついでに、イチカは宇宙人だから物語の最後に「お別れ」が待っていそうですが、これはミスリードで、お別れするのはまさかの海人なんじゃないか、とも。
心配ではありますが、今は「先輩が言っちゃった」そのあとが気になりすぎます。
本当はもっと、3話の随所に見られた「タメ」の素晴らしさや、作劇の面白さ、柑菜の可愛さについて万言を尽くして語りたかったのだけど、もうたくさん書いたので諦めます。
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