あの夏で待ってる 第六話「先輩にライバル。」 感想!
南の島で動き出す(宇宙船のシステムも)
面白いプロット
ストーリーが面白いのはもう1話からずっと鉄板なのですが、プロットが面白いと考えました。
プロットというのは、日本語的な意味だと、小説を書く前に作るストーリーの設計地図の事。めちゃくちゃ詳しく書く人(賀東招二とか)と、大して書かずに書き始めちゃう人(村上春樹とか)がいます。
これから転じて、小説に限らずストーリーを作る段階の事をプロットと言ったりします。英語でプロットと言うと、「ストーリー」とほぼ同義ですね。
というのも、今回夏待ちは一気にストーリーが加速しましたが、その舞台が沖縄というのが面白い。
沖縄だから面白いのではなく、旅行先というのがいいです。まぁどの物語でも、旅行先で恋愛模様などが加速する事はよくありますが、ここまで激しく動くのは珍しいですし、それにたいていの物語では旅行先で起こるのはストーリーの加速だけで、それに対して夏待ちではストーリーの収束まで起こりそうです。
次回まで沖縄ですからね。この長さが面白い。
今回樹下が登場しましたが、ただ登場して恋愛模様をかき乱していくだけではなく、ガチで関わってきそうなのも面白いです。
つまり、扱い的には、5人のそばに現れた第三者、ではなく、6人目。
……というのは少々大袈裟で、まぁOPやEDにいないから6人目というのは言いすぎなのですが、それくらいのつもりで樹下を登場させているでしょう。
樹下はいろんな意味でインパクトがありました。見せ方が大変上手い。
樹下佳織が可愛い
もうなんだろう。先輩とか柑菜ちゃんとか一瞬どうでもよくなったよ。
最初に言おう。
恋に散る女性は美しい。
『萌えカレ』という少女漫画を読んでからというものの、僕は恋に破れる女性の姿にどうしようもないほど美を感じるようになってしまったのです。
それほど『萌えカレ』の失恋の描写がとてつもなかったという事ですが、それ以来、散る女性の描写に注目してきました。
アニメでは最近、『たまゆら』で描かれましたね。
名前は忘れましたが、竹原に訪れていたボーイッシュな女性。好きな人に告白すると言って、玉砕してしまい、しかし綺麗な涙を見せてくれました。あのお話はとてもよかったです。恋に散る女性をあそこまで綺麗に描いた作品を僕は他に知りません。
そんな感じで、最後の樹下の涙にはやられました。
「好きな人いないって言ってたじゃん」→「恋人はいないって言っただけで、好きな人はいるんだ」という受け答えはわりとありがちですが、そしてそのあと涙を流すのも定石的なプロットですが、タイミングの取り方、絵の見せ方、声優の演技、これらが絶妙のバランスで溶け合い、最高のシーンに仕上がっていました。
カメラをせわしなく切り替えたり、あからさまに速いカメラワークを取り入れたりといった演出も相まって緊張感がすごかったですし、イチカが入り込んでしまうタイミングもバッチリです。
何度も言うけど、最高。あの一瞬のシーンにはとんでもない質量の感動が詰まっていました。
それ以前でも、樹下の描写は大変可愛らしかった。
アヒル口なり、指を口に当てるなり、「唇を使う仕草」はあざといとして嫌われる傾向もありますが、二次元なら許される不思議(オイ
夏待ち、アヒル口も連発していますしね。
そして樹下の唇に指を当てる仕草がこれでもかと徹底されていたのがよかったです。
喋る時に必ずそうしているのはもちろん、今回本気ですげぇと思ったのが、撮影シーンで、イチカがしゃべっているのに樹下と海人が映っているカット。光線銃のおもちゃで樹下の口が隠れていました。しかもこれは光線銃を指の代わりに唇に当てていた訳ではなくて、作り手が「そう見える」ようにレイアウトを作った結果。
戦慄すら覚えましたよ。こういう一瞬のカットで体中を電撃が走るような衝撃があるのだから、アニメって本当にすごい。
海人にすげぇ積極的なのもとてもいいです。
檸檬を除いてメインメンバーの4人、誰しも奥手で自分の気持ちを表に出さず、こうモヤモヤした雰囲気が続く中、樹下のキャラは新鮮でしたし、いい潤滑油にもなるだろうし、何より可愛かった。
茅野愛衣の演技も素晴らしすぎます。茅野愛衣が長井龍雪の作品に出てるとどうしても本間さんちの娘さんを思い出すところですが、うん、やっぱり可愛い。
あの私服みたいなものもいいですね。水着かと思ったのですが、水着の上から着ている私服かな。
沖縄の海で水着の上から着衣とは分かっていらっしゃる。沖縄の海は紫外線やばいですからね、地元民はみんなTシャツを着るものです。
っと、そんな事はいい。モノトーンのストライプのキャミソールにミニスカートという出で立ちがステキ。まぁこれは僕の好みかもですが、このデザインをコーデした人と友達になりたいです。コンテマンかな。作監かな。それとも総作監の田中将賀かな。
次回も出るようだし、楽しみだなぁ。まぁその次からは出なさそうだけど。
その他
他にも語るべきところはいろいろあるのに、樹下について語ってしまった。まぁいいよね。ひと夏のアバンチュールだからね(ナニソレ
今回も映像面でも工夫が大変面白かったですが、今回の絵コンテは池畠博史。
どこかで聞いたなぁと思ってみたら、『生徒会役員共』で面白い演出してた人じゃないですか。
『咲』でもいろいろやってますね。でもこっちはあまり覚えていない。
『対象野球娘。』の監督は池端隆史だったか。ややこしい。
最後に一つ。
海人が沖縄で着るのは、「海人」とプリントされたTシャツ。
「かいと」じゃないよ? 「うみんちゅ」って読むんですよ?
絶対やると思ってました。むしろこれやるために主人公の名前海人にしたんじゃねぇのってくらい。長井監督作品の主人公はTシャツでネタに走る責務でもあるのだろうか。
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