バクマン。2 第23話「勝ちと負け」 感想!
筋を通すか、今を通すか。
感想
久しぶりと言っていいくらい、時間の流れるのが遅い回でした。
バクマンは時間の流れの緩急がとんでもなくて、回によっては平気で数ヶ月が経つ訳ですが、最近は流れの早い回が多かった印象です。結婚式が一瞬で終わったのはさすがに残念だった。香耶ちゃんの一番の晴れ舞台のはずが、一番印象に残ったのがサイコーと服部さんの喧嘩だったなんて……
さて、亜城木夢叶のラストチャンスの連載会議という事で、連載会議がじっくり描かれます。一期でもそんな回がありましたね。トラップの連載が決まる時だったっけ?
とにかくまぁ、今回の連載会議がそれほど大事だという事。香耶ちゃんのウェディング姿より。ああ、もうこんな事言うのはやめましょう。毎回OPでステキなウェディング姿を見られるじゃない……
今回僕が特に語りたいのは、編集長について。
以前からこの人、僕は嫌いだったのです。亜城木夢叶が中学生で持ち込みをしましたから、最初は「立ちはだかる壁」か「大人としての見本」みたいな感じになるかと思っていたのですが、まぁ実際そういう側面もあるものの、この人の言動・行動はいちいちこちらの思索を促します。
ただいけすかないキャラなら、わざわざ「嫌い」だと書く事もありません。僕が編集長を嫌いだと言ったのは、彼が本当に考えさせてくれるキャラだから。
入院でのくだりは本当によかった。編集長の判断に福田組がボイコットを起こし、各編集者たちも編集長の考えに首をかしげ、という事がありましたが、編集長のおかげでいろいろと考える事ができました。その上で、やはり彼の判断はおかしいと感じた。だから嫌いです。
そして今回の連載会議。
……まぁ、きちんとジャックに貢献しているマンガを自分たちの都合で「やめさせてくれ」とお願いした亜城木側にとっては、三回もチャンスをくれただけでもありがたすぎるところですが、そしてその時にお互い合意した条件ではありますが、『クロウ』『+ナチュラル』に勝てる作品じゃないと連載させない、という判断基準はこうやって見てみるとどうもおかしい。
副編の彼が「それを言ったら可能性が0%の漫画は存在しない」と言っていて、それに同意する編集者もありましたが、さらにそれを言うなら可能性が100%の漫画も存在しない訳です。
しかしこの連載会議で話しているのは、言わば「『完全犯罪クラブ』は100%の可能性があるかどうか」。勝てると確信できなければ連載させない、という命題は、最初から「あり」の結論には絶対にいかない命題なのです。
「より可能性が高いか」「可能性が50%以上あるか」という事を話しているのなら、まだ分かります。
でもそうではない。編集長の話し方だと、亜城木夢叶には最初から希望などないのです。
だってそうじゃないですか。片や今から連載になるかどうか、片や両作品ともすでに人気を確立していてどちらもアニメ化。比べるフィールドからおかしい。
まぁサイコーもシュージンもその条件でタントをやめた訳ですが、こういう、「より面白い漫画を提供する」という商売の場合、そんな口約束よりも大事なのは臨機応変の対応です。
連載会議でも、今回出ている中では飛び抜けて面白い、という感じの意見が出ています。
反応を見るに、編集長も含めて、会議に出ている全員が完全犯罪クラブを一番面白いと感じている。
ジャックはどんな雑誌か? 「面白い漫画を載せる」雑誌です。「漫画は面白ければいい」は、編集長の口癖じゃあないですか。
つまらない口約束に執着して、面白い漫画を手放すのか?
新妻エイジにもし敵わないのだとしても、将来ジャックを背負う漫画になる可能性のある漫画をここで切るのか?
タントで問題だった、作家のモチベーションに問題はない。ならばここで、完全犯罪クラブを通さない理由なんてないのです。
編集長だって、入院騒動の時は、結局「高校卒業まで描かせない」という判断を捻じ曲げ、退院後に連載を再開したではないか。僕は編集長が嫌いですが、この判断だけは高く買っているのです。自分の言葉を曲げていますし、「決定は変えん」という方針すら曲げていますが、臨機応変に対応する、トップらしい判断でした。
実際にどうなったか、その結果は次回へ持ち越しになりましたが、もしここで連載に通らない事があれば、僕はさらに編集長を嫌いになりそうです。
……でもまぁ、正直なところ、完全犯罪クラブ、あまり面白そうな漫画には見えないんだよなぁw
作中作だし、さらっとしか見せられていないので正確な判断は出せませんが、コンセプトだけ見てもあまり面白そうに見えないという。
まぁ、そこはメタフィクションの抱える永遠の悩みなので、あまり深くは考えないようにします。
そしてサイコーは幸せ者すぎる。クリスマスに会えない彼女からケーキのプレゼントだと……?
ああそういえば、バクマン、全体的に「臨機応変の対応」がフィーチャーされていますね。入院の時に亜豆が「結婚するまで会わない」という約束を曲げたのは、とてもいい展開でした。あそこは約束を守り通すより、好きな人のピンチに寄りそう事こそが大事だった。二人の愛がとても心地よかったくだりです。
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