Fate/Zero 第十七話「第八の契約」 感想!
つまらない男の、あっけない幕切れ。
セイバー陣営
そういや、セイバーのマスターって対外的にはアイリスフィールということになっているんでしたね。現在どこまでこの嘘が信じられているかは分かりませんが、少なくとも、ばれていたとしても切嗣が前に出る必要はないわけで。
というわけで、時臣との交渉に臨むアイリがかっこよかったです。可愛いところもあるけど、基本的には大人の女性だよね。
セイバー陣営に関しては、今回は特に進展なし。舞弥とのやり取りが印象的だったくらいでしょうか。
「衛宮切嗣のために死んで下さい」ってのは、いいセリフですね。アイリが「あなたなら決して私を憐れんだりしない」と言った通り、舞弥はアイリを憐れまずにそのままを認めたわけです。いつか辿り着く死を認めた。憐れんだら、「死なないで」とかそんな言葉が出てきますかね。
でも僕にとって舞弥は前回の件で一番悪いので、こんないいシーンを見せられると心境としては複雑。狙撃下手くそのくせにー!
あとは、切嗣からセイバーへの贈り物でしょうか。前回あんなに丁々発止の大喧嘩をしたというのに、公私混同をしない切嗣です。
己の時代では馬上が常だったセイバー、なるほどバイクの方が性に合うわけですね。
ああ、忘れていた。Aパートのアイリのセリフ。
「今回の聖杯戦争で、もし切嗣を負かして聖杯を取る者がいるとしたら、それが言峰綺礼という男よ」
夫である切嗣の実力に全幅の信頼を寄せているのと、それでも敵がいるとしたらというのを認めている非常にいいセリフですが、なんかグーチョキパーみたいですね。切嗣がグーで、綺礼がパーで、その他がチョキ。
もしくは、切嗣がオメガモンで綺礼がアーマゲモン。パラディンモードさんは誰だろう。……ああ、衛宮士郎か。
アーチャー陣営
今回の肝はなんと言ってもアーチャー陣営ですね。
驚くべくは、前回の次回予告の時点でほぼ全ての視聴者に明らかな展開を、予想外の軌道を取らずに最後まで進め切ってしまった点。
流れからして、綺礼が時臣を殺してアーチャーの新たなるマスターになるところまでは誰にでも分かるわけです。その誰でも予想できる軌道を裏切りもせず、着地点まで寸分の誤差もない展開に恐れ入りましたよ。
今回のアーチャー陣営、あらすじにすると非常にあっけないですよね。
――セイバー陣営からの要請により、綺礼を切る決断をした時臣。しかし綺礼は逆に謀反を起こし、アーチャーの新たなマスターとなって代わる。――
たったこれだけ。間にアイリの独白があったとは言え、この展開の少なさは、ともすれば退屈の元になります。ドラゴンボールではありませんけど。
それなのに退屈のたの字も思い浮かばないのは、そこに至るまでの過程が濃密だからですね。
アーチャーとの会話が、時臣との会話が、面白くてたまらない。
これは原作をアニメの脚本に落とし込んだユーフォーの人たちもすごいのでしょうが、やはり原作者の虚淵玄がすごいのでしょうね。
というわけで、マスターが一人脱落。
お亡くなりになられたので、少し時臣について見てみるとします。
アーチャー、ひいては綺礼の視点に立ってみると、なるほど時臣とは至極つまらない男でした。
今回だけを取っても、まずセイバー陣営に共闘の申し込みをする時点でつまらない。戦争に勝つためには正常な判断なのでしょうが、正常なだけです。そこにエンターテインメント性はない。
そして、いざ交渉の場。いけしゃあしゃあと綺礼を同席させているのはまぁ潔くていいですが、「かつては聖杯を奪い合った」とはまたつまらない文句です。どうせ共闘するのなら、こちらの情報は全て開示するのが筋だろうし、面白い。この嘘はつまらない。
挙げ句に、死んだ時のことを考えています。
確かに、そうしておくのが正しいのでしょう。誰が死ぬのか分からない聖杯戦争、万が一を考えておくのはいいことだ。
しかし、絶対に勝たねばならない聖杯戦争で、負けた時のことを考える滑稽さと言ったらありません。自分で自分を信じてやらず、どうして勝利を得られよう?
……とまぁ、僕自身はここまで思ってはいませんが、アーチャー・綺礼視点に立ってみると、時臣はこう映っているのでしょうね。
最後に彼を擁護すると、父親としての彼はなかなかよかったんじゃないかと思います。
僕の好きなゲームに『テイルズオブヴェスペリア』がありますが、主人公ユーリのセリフにこんなものがあります。
「悪人ってのは負けた時のことを考えないものだ」
僕はこのセリフ、ひいてはそのあとに続く会話内容が好きなのですが、これに照らし合わせると、時臣は負けた時のことを考えていたので、悪人ではないですね。
では何故、負けた時のことを考えたのか。
最終的には魔術師の根源へ辿り着くため、なのでしょうが、これは娘のためですね。遺言には凛に関することばかりが書かれていました。
雁夜との会話が思い出されますが、娘想いのいい父親だと言えます。
まぁ、最後に娘と会っているところを綺礼も見ていましたが、もしかしたらその風景すら「つまらない」と感じていたかも知れませんね。
少しでも美しいと感じていたなら、あそこまで躊躇いなく殺しはしないでしょうから。
それにしても師から頂いた免許皆伝(だよね?)の剣でその師を貫くとは、なんとも不逞な弟子です。なるほどこれは、切嗣を破りうるとしたらこいつだと納得がいく。
ちなみに、刺したあとの部屋をグルッと回るカメラワークは凄まじいですね。あのカメラワークを支え切る作画にも驚嘆ですが、あのカメラワークをやろうという発想がまずすごい。実写じゃまず再現不可能ですねこれ。
ところで、ご息女に関しては~と遺言の内容については頷いていたようですが、ステイナイトではどうなっているんでしたっけ。
後見人にして魔術の師。確かその通りだった気がする。
次回
後半戦に入ってからどうも影の薄いライダー陣営、次回も出番はなさそうです。
というか、次はなんだろう。いつもと違う次回予告でしたが、これは切嗣の過去話かな?
声も作中では聞いたことないものばかりでした。一瞬、次から違うアニメが始まるのかと思った。
過去話に恐らく1話使うだろうから、そうすると残り話数がけっこう少なくなり、19話からは怒涛に怒涛を重ねる展開になりそうですね。いやー楽しみでなりません。
つぶやき
まったく眠れない夜というのを久しぶりに経験した。体から疲れがまったく取れていなくて朝から辛い。
でも原因は分かってる。昨日の昼寝のしすぎです。昼寝は一時間くらいで起きないとね……


- 関連記事
-
- Fate/Zero 第十九話「正義の在処」 感想! (2012/05/13)
- Fate/Zero 第十八話「遠い記憶」 感想! (2012/05/06)
- Fate/Zero 第十七話「第八の契約」 感想! (2012/04/29)
- Fate/Zero 第十六話「栄誉の果て」 感想! (2012/04/22)
- Fate/Zero 第十五話「黄金の輝き」 感想! (2012/04/15)