アクセル・ワールド 第5話「Aviation;飛翔」 感想!
速さのない世界。
飛翔
僕は視聴を始める前、少し勘違いをしていました。
アクセル・ワールドというくらいだから、とことん「スピード」を追求していく作品になるのかなぁ、と思っていたのです。
しかし実際にはそうではないですね。
この世界で加速しているのは、基本的には思考のみ。しかも思考が速いということは、周りは遅く見えるわけです。
ブレイン・バーストによる対戦も、スピードを重視するのではなく、わりと総合的にパラメータが割り振られている。
少しだけですが、変だと思っていたのです。
特に、対戦について。「もっと先へ、加速したくはないか」なんてキャッチコピーを掲げておきながら、別に加速しやしませんからね。
例えばアッシュ・ローラーとの戦いなんか、面白かったではあるけど、ハルユキが使ったのは「速さ」ではなく「知恵」。思考が加速したあとは、特に加速しねぇんだなぁ、と。
しかしなるほど。
「ワールド」と言うから世界観を包括して考えてしまっていましたが、この作品がテーマとして掲げている「加速」とは、世界観ではなくハルユキを中心としたものだったのですね。
考えてみればおかしなことです。今の今まで、加速世界に飛行アビリティがなかった?
そんな馬鹿な。
ハヤブサが最大で時速500kmを叩き出すように、生身で一番速い動物は鳥、つまり飛行するものなのです。
「加速」世界において、飛行アビリティがないなんて、おかしすぎる。僕は最初、ギャラリーの驚愕が理解できませんでした。飛行アビリティのない世界設定に違和感を禁じ得ませんでしたから。
しかし、この作品がハルユキを中心に作られているセカイ系の系譜だと考えるなら、納得がいきます。
飛行アビリティの出現しなかった世界設定は、ハルユキの「スピード」を強調するための設定なのでしょう。
飛行とは、それだけで他の地を這う生き物を置いてけぼりにするスピードを誇る。そう考えると、なるほどハルユキの飛行アビリティはかっこいいです。
世界観設定としても、今の今まで飛行アビリティが出現しなかったのは、「加速」世界だからこそ、容易に速く動けるアビリティを用意するとゲームバランスに問題が出るから、という制作者側の都合があると考えられますね。「誰よりも速く」を常に念頭にスカッシュゲームに臨んでいたハルユキだからこそ、手に入れたアビリティなのでしょう。
ただ六面の壁をバウンドするだけではなく途中で停止してあらぬ方へ飛んでいったりするスカッシュのボールをポカポカ打ち返せるハルユキですから、いくら必殺技で速いとはいえ、一直線に進んでくるシアン・パイルの突き攻撃なんて敵ではないでしょう。しっかり軌道を見極めてクロスカウンターを決めるハルユキは、本当にかっこよかったです。
対アッシュ・ローラー戦のような小手先の戦いも味があって面白いけど、ゴムゴムのバズーカ的な、頭で考えない激しい戦いの方が見応えあるし、燃えられますね。今後も戦い方のバリエーションとか増えていくのかな。
余談ですが、毎回サブタイに英題を使ってきますね。
しかも意図して難しい単語を使っているよう。まぁそれはいいんですが、今回のサブタイAviationは、確かに飛翔という意味もありますが、どちらかというと「航行」とか「航行操舵」という無機質な意味合いが強く、今回のお話には似合いません。英語話者が見たら違和感があるでしょう。
素直にFlyingとした方がきっちり意味が合うのですが、まぁ今のところ「~tion」で統一したいようだし、まぁいいか、なんて。
タクについて
描写が圧倒的に足りませんね。
しかし、これでいいのでしょう。たぶんタクとの確執は解決してないから。
前回の時点で、少し懸念があったのです。
もしかして、これ第5話でタクの気持ちの吐露とかあるのかなぁ……と。
あるんだろうとは思っていましたが、タクに関する描写はほぼないと言っても過言ではないくらいに少ない。これではハルユキに感情移入できても、タクにはできそうもありません。
読み切りだったら、タクは完全な悪役として扱われ、勧善懲悪の物語になっていたかも知れないレベル。
しかしなるほど、今回で綺麗に和解したかと思いきや、次回予告でさっそく暴れていますね。
うん、一二の三で解決しないのなら、白々しいとも言える今回のタクの心理描写も、味があるというものです。人間、長年抱いていた思いを一朝一夕で変えることなんて難しい。いい感情が悪い感情になるのは簡単ですが(浮気とかね)、悪い感情がいい感情に変わるのは本当に難しい。
思っていた通り、タクはハルユキに劣等感を感じていたようですね。
ゲームに関しては、まともに勝てたことがなかった。そしてチユまでも、自分が手を引っ張っている時より、ハルユキの世話をしている時の方が楽しそう……。
これはちょっと、辛いものがある。今のところ同情の余地はないですが、少なくとも、ハルユキもタクも互いに劣等感を抱いていた、というのは面白い。
ハルユキがチユに抱いているのは恋愛感情では決してないし、チユがハルユキに抱いているそれも恋愛感情とは断言しづらいものですが、タクはチユのことが真面目に好きなよう。
この三角関係になり切れていない三角関係が軋轢の原因なので、たぶんですが、これが今後の焦点になったりするのかも知れない。
だってほら、ハルユキくんったらタクのこと放り出して先輩といちゃいちゃし出したじゃない?w
その光景を冷めた表情(顔見えないけど)で見ていたタクが印象的です。少なくとも、面白いわけはない。
さっきの熱い友情劇はなんだったんだよ、と。ここだけはタクに同情します。
……って、見当違いだったらどうしようw
でもなぁ。次回予告でハルユキを殴り倒していたしなぁ。
そんなことより、チユがタクの回想でしか登場しなかった。チユ分が圧倒的に足りない。タクなんかいいからチユを出せ!(オイ
黒雪姫
原作既読者さんたちがおっしゃっていたので、彼女の本名が視聴者(読者)に明かされることは少なくとも今のところはないことが分かっているわけですが。
なんだろう、ニックネームとそう違いはない名前。く……黒瀬姫子?(苦しい
まぁ、本名の判明しないアニメキャラなんて珍しいものじゃない。キョンとかアクセラレータとか。
今回は怪我して入院中なので、傍観に終始していた黒雪先輩。
最後にブラック・ロータスの姿を現したのは、「おおおそこまでやっちゃう!?」とは思いましたが、本当の姿を見せたハルユキに触発されての行動ということで、なかなかよかったと思います。二年も潜伏していた裏切者が姿を現したとなって、そこからストーリーが動いてくれそうですね。まぁ先輩としては、変わらず普段はグローバルネットへの接続を切るんでしょうけどね。
ブラック・ロータスの姿は、ハルユキの言う通り綺麗ですね。
先輩は「誰かとつなぐ手すらないのに」と言っていましたが、それでいいんじゃないでしょうか。加速世界とはすなわち対戦拒否不可能な戦闘世界、手すら敵を切り裂く武器なのはアドバンテージ以外の何物でもないでしょう。
つなぐ手すらない、というのも、たぶん今まで現実世界ではつなぐような相手がいなかったから出た言葉。いい人がいなかったのはもちろん、心からの交流がなかったのでしょうね。取り巻きはいっぱいいましたが。
両親とも上手く行っていないのかも知れません。黒雪先輩にブレイン・バーストを勧めた「親」は、まぁ言うまでもないですね。ブラック・ロータスさんすでにレベル9まで行ってるし。
加速世界ではつなぐ手なくても、現実世界ではそうできる相手がいる。今は、ハルユキがいる。まだまだ卑屈な野郎ですが、つなぐ手が近くにある今、黒雪先輩が自らのアバターに嫌悪感を抱く必要はないでしょう。
病院での黒雪先輩は可愛かったですね。
特に、生徒手帳の中身を見られたと知って、そこで取り乱さないところがいい。黒雪先輩としてはハルユキに二度も告白しているので、今さら好意を隠すことなんてないが、でもさすがに写真を見られるのは恥ずかしい……という、微妙な乙女ゴコロ。
お高くまとっていても、少女は少女なのですね。
ところで、原作者はどうにかならんかね。
「原作者特別出演!」の謳い文句が通るのは1回だけだと思うんだ。いくら原作者だとしても棒演技は作品を失速させるだけだ。
上手ければいいよ?
でもやがて遠藤だったよ。ハンドリングのハンドだよ。
つぶやき
さすがに防災意識をつけないといけないなということで、最近から懐中電灯を常に持ち歩いています。0.5Wの超明るいやつ。
本当はさらに1Wのものもあったんだけど、買った時は金欠で手が届かなかった。金ができたら買うつもり。
しかし懐中電灯はいいでよ。ほとんど出番なんてないんだけど、たまに夜手元を照らしたい時にすげぇ役立つ。そして小銭の少なさに絶望する。


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