Fate/Zero 第十八話「遠い記憶」 感想!
大事な大事な過去編。
虚淵玄のシナリオ術
切嗣の過去編がスタートですね。
いやぁ、過去「編」ですねw 前回は「贅沢にも1話まるまる使うんだろうなぁ」とか書いたのですが、2話まるまる使うようです。今回の事件「だけ」では少し拍子抜け(途中なのだから当然)なので、続いてくれてよかったです。
まずは構成について少々触れたいのですが、2クールアニメにおいて過去編を2話も設けるというのはだいぶ贅沢な使い方ですね。
しかしこの過去編の使い方、よく考えてみたら原作者・虚淵玄の常套手段なのでした。
僕は彼の作品をよくは知りませんが、彼が関わったアニメ作品は、『Phantom』のOVAを除いて全て見ています。
そのうち、シリーズ構成(恐らく原案も)を担当した『ブラスレイター』、大ヒットを生み出した『魔法少女まどか★マギカ』、そしてこの『Fate/Zero』。
全て、物語の後半に過去編があるのですね。
『Phantom』のアニメシリーズはどうだったかな。なかった気がする。
ともかく、上に挙げた3作品に関しては、過去編に入るタイミングがとても似ているのです。
『まどマギ』では、第10話という話数すら覚えている人も多いでしょう。もう一人の主人公と言えるほむほむの過去を紐解き、ついでにまどかの過去も判明した、衝撃の回でした。この回のおかげで、ほむほむの戦い続ける理由が判明し、何故まどかが悩み続けなければならないのかが分かりました。
『ブラスレイター』の過去編は、13話と14話。こちらは前編が終了した直後ということで他の2作とは少しタイミングが違いますが、それでも本質は同じ。主人公ジョセフとラスボス・ザーギンの過去が語られ、何故二人が戦わなければならないのかが説明されました。
そして『Fate』では、切嗣が正義を嫌悪するようになった出来事を描こうとしている。
どれも、ある程度物語が進んでそろそろ佳境に入ろうというタイミングでの過去編。ある程度「現在」を描いて今の主人公像を視聴者(読者)に刻み付け、あとから過去編で一気に感情移入させるのが、虚淵玄の得意とするシナリオ術なのですね。
だから、彼の描く主人公はみんな最初から最後まで芯がブレない。
主人公タイプに一番典型的な、悩み、考え、自分の在り方を決定していく過程は、第1話以前に終了しているのですね。ブレない主人公を描き、視聴者にその性格を刻み込ませたあと、悩み、考え、自分の在り方を決定していく過程を見せつける。
切嗣は本当に、最初からずっとブレませんね。『Fate/Stay night』のことを考えると、今後は何か変わるかも知れませんが。
ジョセフは、第1話から最終話まで本当に変わりませんでした。かっこいい主人公でした。
まどかは悩みまくったけど、『まどマギ』における虚淵玄的主人公は裏主人公の方のほむほむ。こちらも、最初から最後までブレませんでした。
次回、切嗣の重要な過去が恐らく全て明かされるのでしょう。
虚淵玄のシナリオでは、過去編が非常に重要な意味を持つ。括目しましょう。
感想
シャーレイが可愛いです。あやひーの美少女声はやっぱりいいなぁ。
とある島に流れ着いた衛宮親子のお話でした。息子の切嗣はだいぶ真っ直ぐに育ったようだけど、父親の方はだいぶブラックな研究をしていたよう。それでも「その話はあとでしよう」と、息子の目から逃げることはなかったので、息子に対しては本当に親としての愛情があったんだと勝手に思っています。たぶん時臣と同じ感じ。根源に辿り着くことが魔術師の目標。
なんつーか、これはアニメ版がだいぶカットしたからか?
少し描写に疑問を感じた回でした。今までこんなことなかったから、僕が見落としているだけかも知れないけど。
例えば、今回の事件の直接原因はシャーレイが衛宮父の工房に入って魔術を発動したからですが、何故そんなことをしたのでしょう。「先生の研究を証明したかった」と言っていますが、その前夜に「私にそれはできないからケリーがやってね」ということを言っていませんでしたっけ?
ケリーが先生の研究を引き継いで完成させていくのを隣でずっと見てる、と言ったあとの凶行なので、少しついて行けませんでした。
まぁしかしこれは、僕のもう一つの疑問が解決してくれるかも知れないので、今は保留。
その疑問は後述。
今回触れるべきは、切嗣が父親をあっさり殺したところにあるでしょうか。
あとから親子になった義父だとは思えないので、さすがに実父でしょう。ナタリアが言っていましたが、子どもが父親を殺す理由が今回の件からは見当たらない。
まぁ確かに、この事件を起こした根本的な原因は父親なわけですから、今後もこういうことが起きないためには、父親を殺すのが一番でしょう。現在聖杯戦争でドンパチやっている切嗣がしたなら十分理解できるのですが、この時点ではまだ子ども。
……うーん、どうも材料がそろっていない感があるなぁw
次回はその後のお話をやるものだと思っているのだけど、さらに今回のお話の補完も行われるのかも知れない。これは前後編としてまとめて感想を書く方が賢いかも知れない。
ミセリコルデの意味
シャーレイがシモン神父から持つように渡されていた短剣、あれは恐らくミセリコルデですね。たぶん。
ミセリコルデは刺突専用の短剣で、「慈悲」という意味を持ちます。つまり、もう生きる見込みのない騎士にトドメを刺すための武器でした。鎧の隙間から突き刺したと言います。
ほぼ同形の短剣に、スティレットがありますね。こちらはめっぽう相手にトドメを刺す用で、たぶん味方を介錯する用のスティレットをミセリコルデと呼んでいます。違ったかな。まぁ、だいたい合ってるはず。
RPGをたしなむ人なら、名前くらいは聞いたことがあるかもですね。
神父が少女に護身用として持たせるような武器ではないのですが、まぁこんな島だ、武器と言えばこれしかない、的なものだったんでしょう。ミセリコルデは刺突専用、狩りには使えませんからね。あるだけでびっくりです。
そこはいくらでも納得がいくのですが、僕はこの短剣が出てきた時点でミセリコルデだと分かったので、「どこかで誰かにトドメを刺す展開があるのかな」と思いました。まぁ普通に考えて、切嗣がシャーレイを、ですね。
まさにそれにおあつらえ向きの展開が来たので、これは早々にシャーレイを殺すか、と思いきやそうはしなかったよう。
しかしミセリコルデを使って最初に殺したのは、なんと父親でした。
しかも本来の用途はトドメなのに、不意打ちに使ってトドメは拳銃。これはどういうことだろう。
考えられる可能性は三つ。
一つは、今回ミセリコルデが出てきた意味がまだ描写されていない。次回これが解決されるなら、上で挙げたシャーレイの行動に対する疑問もついでに解消されるかも知れません。
一つは、ミセリコルデが出てくる意味なんて特になかった。たまたま作中に登場させた剣がミセリコルデだったというだけで、別にそれだけ。日本人の悪い癖ですね、かっこいいと思ったものをとりあえずそのまま使っちゃう。
一つは、実はあれはミセリコルデではなくただのタガー(短剣の総称)だった。まぁミセリコルデにしては刀身の幅が広いですし、僕の勘違いだったという可能性もありますね。
僕の大好きなアニメ『聖剣の刀鍛冶』でミセリコルデが登場した時はちゃんと本来の用途で使われていて興奮した覚えがあるので、勝手にテンションが上がっていただけかも知れません。特別武器に詳しいというわけでもないし。
……三つ目だったらなんか悲しいものがあるw
まぁそれならそれでいいのです。とにもかくにも、次回がとても楽しみ。
つぶやき
最近、漫画というものを読んでいない。


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