氷菓 第4話「栄光ある古典部の昔日」 感想!
歴史的遠近法の彼方で古典になっていく。
神酒原は原作既読ですが、ネタバレは一切しません。
ネタバレを避けるために、「感想」ではミステリー部分に関する言及を極力避けます。ミステリーはネタが命、感情に任せて書くとうっかりネタバレしかねないので、自制をかけます。
「考察」(アニプレッション)では触れます。
里志が面白い
本当なら、今回の推理過程についていろいろと感想を書いてみるべきなのでしょうけど、上記の通り僕は原作読んでるので、まだ明らかに解決に至っていない以上、触れることはできませんね。次回サブタイが「真実」だもんねw
あ、上に書いた「歴史的遠近法の~」ってのは相当重要なフレーズですよ、ということだけ書いておきます。
というわけで里志。
いやぁアニメスタッフは本当に上手い。前回ほとんど出番のなかった里志を今回嫌というほどに出す。まぁ原作通りではあるんですが、それにしては今回原作以上にしゃべっていたもので。
里志好きからしたら天国のような時間でしたよ。いやほんと彼がしゃべっているだけで面白い。
薔薇色、灰色、に続いてショッキングピンクまで出てきましたね。
この辺の会話は本当に小説的で、未読者がどこまで理解できていたかが少し気がかりではあります。でも勝手な心配かも知れない。
ショッキングピンクとはまた上手い色です。原作にも詳しいことは書いていないのでこれは僕の予想なんですが、この場合のショッキングピンクは「我が強い」という意味でしょうね。「我が道をゆく」とも言えるでしょうか。今回成績の話が出ましたが、アニメでは触れられなかったけど里志の席次はだいぶお尻の方。本当になんでもかんでも知っていたら、それはデータベースではなく検索エンジンですね。
もっともっとしゃべる里志を見ていたい。
阪口大助のお芝居が神がかりすぎているから原作以上に飽きません。アニメってほんと素晴らしいね。
摩耶花が可愛い
僕は原作だともう少しあとに摩耶花好きになるのですが、アニメでは初登場の第2話から摩耶花の虜。
身長低い子にオーバーオール着せるとか、誰がその設定をしたのか分からないけど、とにかく今回のスタッフまじグッジョブ。作監の池田和美かな。オーバーオール超可愛かった。
と、いうのもあるけど。
ちーちゃんの手作りおにぎりを嬉しそうに食べようとする里志に「別にっ」って拗ねる摩耶花が可愛い……!
さすがに摩耶花としても、千反田が恋のライバルになる可能性は考えていないでしょうが、女子力では明らかに負けてますからね、そりゃあそっぽの一つも向きたくなるものです。
くぁぁ、摩耶花が可愛すぎてアニメの『氷菓』は駄目だ。僕の平常心をかき乱す。いいぞもっとやれー!
今回のお話
アバンの会話は面白いですね。
45年も前のことなら、さすがに時効だからいろいろと漁ってもいいだろう。
そして千反田の依頼が解決しないままだと、やがては叔父の葬儀が執り行われ、千反田の中でも時効になってしまう。
時効になるくらいなら、古典部のみんなにくらいなら話してもいいよね! という千反田の即断が気持ちいい。
そんなわけで各々が資料を集めて検討会を開いたのが今回。
彼らは前向きなのか省エネなのか、45年前の出来事が明らかになったら文集のネタにしちゃうつもりのようです。45年も昔とはいえ、近代だぜ? 古典ってそんなアバウトでいいの? って感じですが、まぁ普段からごらく部なのか女子部なのかSOS団なのか軽音部なのかよく分かんない部活動なのでアバウトでいいんでしょうね。
原作の古典部シリーズでは文庫化がされている4巻までのうち、今回に当たるエピソードが一番「動き」の少ないお話でした。延々と4人の考えが入れ代わり立ち代わりする上に、原作では最後まで最初の部屋で座ったままなのですね。いやまぁ、折木はトイレに立ちますけどね。
ミステリーというからには、往々にしてこういうシーンがあるもの。ここをどう料理するかがアニメの腕の見せ所となっていましたが……
これまでもやってきた分かりやすい絵画・文字演出に加え、今回はみんなであっちこっちに移動していましたね。縁側に行ってみたり、お腹が空いては台所へ行ってみたり。みんな里志のセリフがきっかけ。
これは視聴者それぞれ思うところがあるでしょうが、原作既読である僕は大いに大満足の内容でありました。
しゃべっている時間が多いというのは「常に何か動かないといけない」ということでアニメにとっては難しいことかも知れませんが、それは逆に「動けばもうけもの」とも言えます。これでもかとキャラクターの演技を楽しむことができるので、そして今回大いに楽しませてもらったので、僕は文句がありません。
里志がコミカルに動いてくれるのと、摩耶花がちょこちょこ動いてくれるのが一番大きいですね。やはり僕はこのペアが好きみたいだ。千反田のお嬢様然とした動きも面白いです。折木は……あまり動かないw
折木と言えば、折木の思考シーンがすげぇかっこよかったです。
アニメでは嘘の演出として、風が吹いてもいないのにキャラの髪が浮き上がる、というものがありますが、京アニはこれを多用しますね。『CLANNAD』や『けいおん!』で印象的。
今回の折木は、トイレ(これまたでかい!w)にいるにも関わらずシャツの裾が少しはためきました。追い風にふーくーらんだシャツのー……、って、これは違うか。
ともかくこの辺からもう演出がかっこよかったわけですが、そこからの抽象画演出がもうやばかった。文字の群れが高速で飛び交い、そして強風で髪や服が乱れる中で折木の顔へズームイン……。
折木っていい感じにイケメンにならないように作画されている印象を受けますが、ここは問答無用でイケメンすぎて危うく濡れるところでした。メリハリを大事にする武本康弘作品らしい演出。まぁ今回の演出家の好みでこうなったのかも知れませんけどね。
とにかくしゃべりまくるため演出が難しかったであろう今回の絵コンテ・演出を担当したのは、河浪栄作。京アニ作品では一番の新人演出家ですね。
僕はてっきり今回が初絵コンテだと思っていたのですが、調べてみると『日常』で絵コンテ切ってるみたいなんですね。しかし放送当時はそうだった記憶がなく、さらに調べると別資料では何も担当していないことになっていて、現在ちょっと混乱中。『日常』では演出補佐、だったような気がするんだけどなぁ……。
まぁいいや。とにかく1回目か2回目くらいの人です。さすがに熟練の武本康弘や石立太一のようなクソ面白い映像演出ではありませんでしたが、トイレの折木や千反田邸に行く時の自転車走行など、要所要所は工夫にあふれていて面白かったです。
作画監督は池田和美、作監補佐は引山佳代。演出の河浪栄作含め、原画の牟田亮平、門脇未来など、今回のスタッフのほとんど・もしくは全員が京アニの子会社であるアニメーションDoのスタッフですね。
脚本の江上美幸も京アニのアニメーターですが、京アニ所属なのかDo所属なのか僕はちょっと把握していません。たぶん京アニだと思うんだけど。
最近門脇未来の出番が増えたように思います。『けいおん!!』の彼女の作監回で彼女の絵に惚れ込んでから注目していますが、いずれキャラデザとかやらないかなぁ。京アニが出してるラノベの挿絵も担当してるしね。
次回のスタッフは、絵コンテ・演出に三好一郎、作画監督に堀口悠紀子。
次回は氷菓編のクライマックスになります。最初のエピソードのクライマックスで三好一郎とは、『CLANNAD』の風子編を思い出します。第9話「夢の最後まで」。いやぁ神回だった。ヒトデ!
作監が堀口悠紀子ということで話題になるかも知れませんが、個人的には植野千世子がよかったなぁ。三好一郎の演出回の作監をよくやっているのが植野千世子なので。あと植野絵も独特で可愛いので好きなのです。
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アニプレッション「こんなにも面白い『氷菓』の世界 第4話」は、5月15日の夜から深夜にかけて投稿予定です。
(5月16日0時2分)投稿しました。合わせてどうぞ。
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つぶやき
ここ2年くらいで、クリアファイルの数が相当増えた。文房具の一つのはずがいつの間にかコレクターアイテムに。


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