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氷菓

氷菓 第6話「大罪を犯す」 感想!

圧倒的な会話劇が気持ちいい。

 
 
 
会話劇
会話劇の面白い作品というのはいくつか思い当たりますね。
最近だと、『偽物語』が当てはまりますかね。『化物語』も含めて、阿良々木とヒロインたちの軽快かつニッチな会話劇が話題を呼び、アニメ史に残る売り上げを見せています。00年代の中期は京アニの時代でしたが、後期から10年代初期まではシャフトの時代と言えますかね。京アニはこの『氷菓』と『映画けいおん!』で時代のリーダーを取り戻せるか。

閑話休題、僕が他に思い当たるものといえば、『紅 kure-nai』です。日本のアニメではほとんど使わないプレスコ(先に声を録ってそれに絵をつける)を採用し、とてつもなく面白い会話劇が繰り広げられていました。『化物語』シリーズが脚本上で面白い会話劇なら、『紅』は声優の演技が面白い会話劇。みゆきち、新谷良子、真田アサミなどが印象的でした。悠木碧が頭角を現し始めた作品でもありますかね。
監督の松尾衡は、来期『夏雪ランデブー』でテレビでは久しぶりの監督。楽しみです。

閑話休題、そして、「会話劇の面白い作品」にこの『氷菓』を加えてもいいのではないか、と今回思うようになりました。
原作がもともとセリフ回しが独特で会話が面白い作品ですが、セリフ回しが面白いだけのアニメは腐るほどあります。ああいや、腐るほどって言ったら語弊があるけどセリフ回しが面白いだけでも十分評価の対象ですけど。

今までだって『氷菓』の会話劇はとても面白かったですが、今回はなんと全編ほぼしゃべり尽くしており、おまけに部室から外に出ないではありませんか!
今まで若干なりを潜めていた会話劇の面白さが、ここにきて表出してきた感じがします。

特にAパート冒頭のくだりが面白すぎました。
何があったか知らないけど里志に大変ご立腹の摩耶花、苦い顔をして何も言い返せない里志、おろおろする千反田。
折木の「疲れないか?」の一言で一休みする摩耶花が可愛いです。

今回の話題は「大罪」について。
七つの大罪って、元ネタはなんでしたっけ?
確かキリスト教? 『鋼の錬金術師』のホムンクルスがこの大罪をモチーフにしていましたね。

僕が興味深いと思ったのは、千反田の考え方。
これらの大罪は、ないものとするのもよくない、と。
折木が「程度の問題か」というようなことを言っていましたが、この考え方は「中庸」と呼ばれるものですね。キリスト教を離れて、こちらは、確か儒教の考え方だったかな?

例えば、「勇気」は美徳だが、これが足りないと「臆病」になり、これが過ぎると「無謀」になる。ほどほどがいい。というのが、中庸の考え方。
僕の思想に影響を与えているものの一つで、わりと普段から実践していたりします。
同じ、とまでは言えないかも知れないけど、千反田と僕は似た考え方をしているようです。なんとなく嬉しい。

今回のお話
尾道はなぜ授業の進度を間違えたのか。

僕なんかはこういうウッカリ間違いを絶対にしたくないので、勘違いしてしまう可能性のある文字は意図的に差別化して書いていたりするのですけどね。aとdなら、dを書く際は思いっきり線を上に伸ばす、などなど。筆記体は書けませんが、gとqを区別するために、qだけは筆記体で書いたりもします。

が、その辺大して気にしない人もやっぱりいるわけで、尾道もそのうちの一人だったというわけですね。勝手に勘違いして勝手に怒鳴るのは、同じく話を聞いているだけの視聴者としては、摩耶花と同様に「尾道が悪いんじゃん!」と思ってしまうところですが、彼は自分にも厳しいということで、職員室に返ってから頭を抱えるのでしょうかね。そう考えるとちょっと萌える。

今回のお話で驚くべきは、アバンの折木の教室のシーンを除いて、部室を一回も出ていない点ですね。『生徒会の一存』ではありませんけども。
なぜ驚くべきなのかというと、第4話では千反田の家の中をあちこち移動していたからです。第4話は、原作では最初に落ち着いた和室で全ての検討会が進行するところ、「動きを見せないと画面がつまらない」ということで、縁側だの台所だのへ移動する展開が見られました。

それが今回は、移動が一切ない。
いやまぁ、お話的にどこに移動させるよという話になるんですけどね。
脚本的に移動が困難だったのだとしても、実際に今回は移動がゼロで、しかし退屈な映像ではなかった。

今回の絵コンテ・演出は坂本一也、原画は描いていないようです。
やはりカメラの映し方に工夫がいろいろと見られました。彼の演出を意識して観察したことはありませんが、今回はもしかしたら、坂本一也らしさが随所に出ていたのかも知れない。
なんというか、工夫はしてるけど工夫しすぎていない感じ?

『氷菓』恒例の折木を謎解きに駆り立てる変則千反田は、今回はなんと大量のチビエンジェル千反田。
坂本一也はもしかして、ミニコンなんですかね?
彼は『CLANNAD』のアフターのEDのだんごの作画を担当していて、そのせいで僕は「だんごの人」って覚えていたりします。
ミニコンかどうかは置いといて、チビエンジェル千反田は可愛かったなぁ。うっかり墓穴を掘ってしまった折木さんお疲れ様です。

折木の心象風景と言えば、チビではないエンジェル千反田が出てきましたが、輝いているようでいて灰色なのが面白いですね。
ちなみに、疲れるから怒らない、というのはなかなか共感のいく感覚。僕なんかも滅多に怒らない人ですが、なぜ怒らないのだろうと振り返ってみたところ、怒るような場面になると「なんか怒るのも馬鹿らしい」と怒りがすぐにしぼんでしまうことが多いような気がします。思えば、疲れるのが嫌だからなのかも知れない。
最近、しぼむことなくガチで怒ったことがありますが、普段怒らないことも手伝ってか、相当疲れました。うむ、やはりあまり怒らないに限る。

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アニプレッション「こんなにも面白い『氷菓』の世界 第6話」は、5月29日の夜から深夜にかけて投稿予定です。
(5月30日1時38分)投稿しました。合わせてどうぞ。

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つぶやき
「閑話休題」の使い方ってこれで合ってるんだっけ?

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6 Comments
tara ""
短編1本で丸々1話という構成でしたが、過不足なくきっちり収められてましたね。
場面転換が無かった点は原作通りだったので意識しませんでしたが、裏を返せば意識させないくらいスムーズな話運びだったと思います。
特にAパートは(体感速度的に)あっという間で、アイキャッチに「え、もう半分?」と驚かされました(^^;)

>アバン
原作小説を読んでいて「アニメではどう表現するんだろう?」と感じた部分というのがココでした。

隣の教室から漏れ聞こえて来る教師の怒声、続いて千反田さんらしい声。壁越しで内容までは聞きとれない、でもそれが誰の声かは判別できる…(しかも怒ってるらしいことも判る)
この“微妙な聞こえ具合”をアニメでどう表現するのか興味あったんですが、残念ながらちょっと聞き取りにくかったように思います;
(B組側の先生やクラスメイトの声が大き過ぎたのかも?)

>プンプン怒る摩耶花
真剣に怒ってる姿をつかまえて「可愛い」と評するのは失礼極まりないとは思うんですが…可愛いww

上体を少し前に傾けて、握った拳を手首の外側に反らしながら両手をお尻の後ろに突き出すポーズ(伝わります?)が最高です。
摩耶花を可愛く見せる術を既に完全に掌握してるスタッフの皆さんには、「いいぞもっとやれ」の言葉を送るばかりです(^^)

その後の「疲れた…」も最高ですね(^^)
自分の中で茅野愛衣さんの株が急上昇中ですv

>職員室に戻ってから頭を抱える尾道先生
それはちょっと見てみたいw
というか、尾道先生は最後までマネキンでしか描写されませんでしたね…
「(現実の出来事としてでなく)飽くまで机上の問題として謎に取り組む」というメタファーなのかもですが、ちょっと意外な演出でした。

>聖チタンダエル
…を見つめるホータローの表情が見ものでしたw
怒りに限らず感情をあまり表に出さないホータローなだけに、同志を見つけた感動の程が伝わって来ました(^^;)

>アルファベットクッキー
上手い小道具の使い方でしたね。
淡々と説明を続けつつ、さりげなくRのクッキーをかじって“仕込み”をするホータローをニヤニヤしながら見てましたw

>余談
Sleipnir使いですが不便は感じてません。大丈夫です(一応ご報告…)

>余談その2
『紅 kure-nai』は漫画版を先に読んでいたのでキャラデザに馴染むのに少し苦労しました(^^;)
プレスコならではの掛け合いが楽しかったですね(ミュージカル回はちょっと呆気にとられましたがw)
OVAも出てた気がしますがそちらは観てません;

>余談その3
「閑話休題」は逸れた話を本筋に戻す時に使うのが正式、と高校の先生に教わった記憶が…

>余談その4
相互リンクありがとうございました<(_ _)>
やはり自分は「来てもらう」よりも「押し掛ける」方だと思うので、コメント機能は敢えて外しました(^^;)

後半は余談ばかりになってしまいましたw
(あ、「エッチでもないし」で顔を赤らめる摩耶花の可愛さに触れ損ねた…)
2012.06.06 22:49 | URL | #pNWhpxPM [edit]
神酒原(みきはら) ">taraさん"
>短編1本で丸々1話という構成でしたが、過不足なくきっちり収められてましたね。
逆に、短編だからこそきっちり収まったと言えるかも知れません。長編となると、作品ごとの差異はありますが描写のある程度はダイジェストになるので(印象的なところで会話が途切れてすぐに次の場面に行く、など)、アニメに落とし込む際に詳しくやろうとすると原作と比較して「引き伸ばしが冗長」という感想が生まれやすいです。反対に短編は、もとからダイジェストっぽさがほとんどないので、アニメで詳しく描写しても大して冗長には感じない。
まぁこれはあくまで原作既読者から見た感想で、実際にまとまってしまったからには舌を巻くしかないのですけどねw

>この“微妙な聞こえ具合”をアニメでどう表現するのか興味あったんですが、残念ながらちょっと聞き取りにくかったように思います;
ここを悪かった点として捉えるなら、「いらないところでリアルすぎた」ということになるでしょうか。
京アニは作画演出がリアル志向であることで有名ですが、描写をリアルにしすぎると逆に分かりづらくなることもある、と。
リアルを追求するなら、隣のクラスの声ってのは怒声であっても実際あの程度だろうし、「千反田だろうけどちょっと微妙」という折木の感覚を考えるとあれ以上ハッキリ聞こえると逆に変です。
でも『氷菓』はリアルではない嘘演出がかなり増えているので、音響上でももう少しひねってもよかったかもですね。

>真剣に怒ってる姿をつかまえて「可愛い」と評するのは失礼極まりないとは思うんですが…可愛いww
いやいや、女性キャラというものは、往々にして怒ってる姿が可愛く映る場合もあるものですよ。コナンの灰原とか。
千反田が要所要所でしか動かない分、スタッフのみなさんは本当に摩耶花をよく動かしますよね。キャラクターの動きに関しては京アニでも随一と言っていい演出家が今はもう退社しているというのが惜しまれます。高雄統子っていうんですけどね。『アイマス』でシリーズディレクターやってました。

茅野愛衣はほんといいでよー。演技力のある新人は数あれど、新人のうちから演じ分けを見事にやってのける人は……って、この話前にしましたねw
「新時代のみゆきち」には今後もたくさん出演してもらいたいです。

>ちょっと意外な演出でした。
「心あたりのある者は」だったら分かるのですけどね。
折木がある種の安楽椅子探偵である、という描写なのかなとも思います。千反田のせいおかげでなかなか椅子に座れてないですけどね。
まぁでも今回の演出家の坂本一也のコメントによると、単にコメディタッチにしたかったようなので、特に大きな意味なんてないのかもしれませんw

>怒りに限らず感情をあまり表に出さないホータローなだけに、同志を見つけた感動の程が伝わって来ました(^^;)
あまり動かないやつがたまに動くと面白いですよねw
なので、愚者のエンドロール編でのラスト付近の折木フルボッコシーンが楽しみだったりします。

>さりげなくRのクッキーをかじって“仕込み”をするホータロー
「なんでPとR出すのん……?」と素直に不思議がっていた僕はアハ体験をしましたw

>Sleipnir使いですが不便は感じてません。大丈夫です(一応ご報告…)
お、ありがとうございます。
って、まぁ読者にはさほど関係ないだろうとは思ってたんですけどねw たぶん不便なのは僕だけ。管理者ですので、記事内容をさらっと確認して回る時などにページ移動されると面倒くさいのです。
や、まぁ今はブログ確認はクロームでやってるので特に問題はないのですけどね。FC2早く直せー!

>『紅 kure-nai』は漫画版を先に読んでいたのでキャラデザに馴染むのに少し苦労しました(^^;)
僕は漫画は読んでないけどもともと原作ファンで……と、原作イラストと漫画作画の人が一緒という稀有な作品なのでした。漫画版はちょうど終わったらしいけど原作はいつになったら続編出すねん……。
違和感はすごかったですが、あのデザインで動きまくるので作画的快感はとんでもなかったです。
ミュージカル回は、いろいろな意味でアニメ史に残していい神回だったと思っていますw これほど原作ぶち壊しなのに面白いお話もそうそうないもんだ。
OVAは僕も見てません。

>「閑話休題」は逸れた話を本筋に戻す時に使うのが正式
いやその通りですけど、僕が言ってるのは場所。
以前にも使ったらある仲良しブロガーに「使い方違うよ」と言われ、まぁその時はわざと間違った使い方をしていたのですが、その時の使い方が間違っていたのは分かってるけど正しい使い方が分からないという。
段落の文頭に置く、というのは合ってると思うのですが、「、」で続けていいのか、「。」で区切るべきなのか。

>やはり自分は「来てもらう」よりも「押し掛ける」方だと思うので
まぁウェブ拍手があるからいいのか。
でもコメント機能は置いておくのをオススメしますよ。自分用のブログだったらいいですが、読者が何か言いたい時にコンタクトが取りづらい。
いやまぁでもご自分の選択を優先でw あくまでいち先輩ブロガーからのアドバイス程度です。

>(あ、「エッチでもないし」で顔を赤らめる摩耶花の可愛さに触れ損ねた…)
このパラドックス……taraさん、できるっ!
2012.06.07 23:11 | URL | #- [edit]
tara ""
>“微妙な聞こえ具合”
確かに良くも悪くもリアルな描写でした…
言いたかったことは全部言って頂けた気がするので、付け加えることは無いです(^^)

>コナンの灰原
可愛い!激しく同意です(^^)
哀ty…灰原さんは普段がクールなので、怒ったり狼狽したりしてる様子が特に可愛いと思いますv

>高雄統子
調べてみました。
アイマスで実際にコンテを切られてるのが20話と24話…納得。
どちらも演出が素晴らしかった回として記憶してます(^^)

>『紅 kure-nai』
小説のイラスト画家がそのままコミカライズも担当しちゃうのは確かに稀有な例ですよね(その逆であれば珍しくも何ともないですがw)
イラストが“静”なら漫画は“動”だと思いますが、アクションの比率も高い作品なのに漫画の形式で違和感なく描けちゃうのは凄いなぁと素直に感心してました(^^)
…え、完結?(今月号まだ読んでない;)

OVAのキャラデザは原作寄りらしいですね(^^)

>「閑話休題」
論点を誤解してたようで失礼しました;
感覚的には句点で区切るのが正しい気がしますが…根拠は無いです(^^;)

>先輩ブロガーからのアドバイス
ありがとうございます<(_ _)>
コメントを寄せて頂けるような記事を書いてるわけでもないので今のところ必要性は薄いと思ってますが、また折を見つつ考えます(^^;)

あ、投票フォーム設置の件ですが、自分の所でも応募可能でしょうか?
うちのような過疎ブログに設置してどれだけ効果があるか謎ですが、神酒原さんさえよろしければ…(・_|チラッ
2012.06.09 01:32 | URL | #5uJ3mkJ6 [edit]
666 ""
 6話の演出については前半のテンポの悪さが特に目立ちました。一番顕著なところがえるが疲れるから怒らないといったところでの里志と麻耶花の反応のところです。里志が反応してから麻耶花が反応するまで間が空いていましたが、二人のセリフをかぶせるぐらいのタイミングで丁度よいくらいではないしょうか?会話劇としての面白さは左程感じられませんでした。
 確かに主なストーリーは部室内での展開に終始するだけに、演出サイド泣かせの脚本だと思います。特に前半では、細かくカットをつないだり、カメラ・アングルで工夫したりして画面に変化を出そうとしているのですが、根本的な問題として芝居のテンポが悪いので、結局、視聴者の印象に残るところといえば、ギミックだけになってしまいます。それにカメラ・アングルをやたらこまかく切り替えたせいか、この回の<奉太郎から見たえる>というテーマを際立たせるカメラ・アングルの印象が薄れてしまっています。実はこの回では奉太郎のPOV(主観ショット)でえるを捉えるショットをいかに印象づけるかが肝だったと思うのです。
 後半の数学の授業のシーンでのえる以外の人物の記号化も、背景のリアリズムと物語への信頼のせいで、幾原邦彦の『輪るピングドラム』や新房-シャフトの諸作品のような徹底した記号化のめざましい成果を見た目には、中途半端なものにしか見えません。それにこのシーンでは、教室内の緊張感もスポイルされていて、えるがなぜ蛮勇をふるったかが曖昧になります。ここは別の戦略で視覚化をはかってもよかったのではないかと思います。
 そういえば冒頭の里志と麻耶花のやりとりでは、何か重要な意図があるとも思えないイマジナリー・ライン越えまでやらかしていますし、本来はこういう映像化が難しい回にこそ真に演出力のあるスタッフを回すべきではなかったかと思います。
 
 この回と比較すると7話は演出面でのさりげないうまさが光った回だと思います。
 もちろん既に指摘した致命的ミスの他にも、湯あたりした奉太郎の布団の向きがいつの間にか変わっている点、「行きたい」顔などのつまらない特殊効果などの欠点もあるのですが、やはりファースト・シーンのテントウムシを使った演出などは、1話から7話までの中でもっとも秀逸な演出ではなったかと思います。夕食後、部屋に戻った奉太郎が手持ち無沙汰にしている様子を、俯瞰からのカットのつなぎで時間の経過も充分に感じさせながら、しかもテンポよく描いて、そこはかとないユーモアも感じさせていました。こういうところも、さりげないけれどよい演出だったと思います。
 善名姉妹の描き方についてもポイントとなる点を指摘しておきましょう。二人が単体で映るファースト・カットでは引き戸が中央に分割線を引いていて、そのラインを挟んで二人は左右に分かれて立っています。右が姉で左が妹です。この姉妹を左右に振り分ける位置関係は、奉太郎の推理の場面でも二人の持ち物の位置関係として踏襲されます。二人が単独で映るラスト・カットはといえば、画面中央で一体となっています。このカットでのサーチ・アップの使用も適切でした。
 また、そのシーン前後の奉太郎とえるのやりとりも、2人の位置関係を適度な切り返しで切り替えて、会話の内容に合わせて上手と下手を入れ替えるというさりげない演出が効いています。姉妹兄弟というものの現実に対するえるの心の動揺と、えるを幻滅させてしまったことを少し気にしたのか、目を逸らしてうつむく奉太郎の動揺を強調するような風の演出も悪くはなかったと思います。

 お互いの演出面の評価のポイントにズレがあるから、捉え方の相違があることは確かだと思いますが、これみよがしな演出だけでなく、こういうさりげない演出のうまみも評価してもらいたいものだと思って、ここまで乱文ながらあれこれと書いてきました。

 では、これにて。


2012.06.10 22:06 | URL | #- [edit]
神酒原(みきはら) ">taraさん"
>哀ty…灰原さんは普段がクールなので、怒ったり狼狽したりしてる様子が特に可愛いと思いますv
そうそう。笑ってもきっと可愛いのでしょうが、怒ったり狼狽したり呆れたり嫉妬したりしている方が「らしい可愛さ」ですもんね。もうそういうのがアイデンティティとして定着しちゃってる。損なのか得なのか。稀有なのできっと得だw

>アイマスで実際にコンテを切られてるのが20話と24話…納得。
今のところ僕はこの24話を高雄統子最強の演出回だと考えていますが、20話よりはむしろ2話がオススメです。20話はストーリー的な盛り上がりも手伝ってすごい回でしたが、2話は後半ほどの盛り上がりがない分、細かな演出がよく目立って面白い回です。

>イラストが“静”なら漫画は“動”だと思いますが、アクションの比率も高い作品なのに漫画の形式で違和感なく描けちゃうのは凄いなぁと素直に感心してました(^^)
山本ヤマトは別に漫画家出身というわけでもないですからね。原作小説を読んでいる頃から、「動く絵も描けそうだな」とは思っていましたけど。

>感覚的には句点で区切るのが正しい気がしますが…根拠は無いです(^^;)
僕は読点じゃないかと思ってます。「閑話休題」が接続詞的な使われ方をするなら……
目の前に辞書があった。分からないなら調べればいいじゃない!
接続詞的な用法をするそうです。読点が正しいようです。

>あ、投票フォーム設置の件ですが、自分の所でも応募可能でしょうか?
うおおお、ぜひぜひ!
アクセス数で振り分けたりはしません。投票効果が見込めないのだとしても、こういうのは気持ちですよ。
設置方法は大丈夫でしょうか? 僕の承認などはいらないはずなので、すぐに設置できるはずです。不具合があればお知らせ下さい。
2012.06.11 02:20 | URL | #- [edit]
神酒原(みきはら) ">666さん"
僕の全体的な気持ちとしては、5話の方に書いたレスとほぼ同様です。正直に申しまして、666さんのお話はあまり面白くありません。

>二人のセリフをかぶせるぐらいのタイミングで丁度よいくらいではないしょうか?会話劇としての面白さは左程感じられませんでした。
ここには、舞台演劇的な表現がなされていたと考えています。タイミングよりも、その内容を情緒たっぷりに演技することが主眼。感じる感じないの話に持って行くと、僕はこの抑揚がむしろ心地よかったです。

>根本的な問題として芝居のテンポが悪いので、結局、視聴者の印象に残るところといえば、ギミックだけになってしまいます。
テンポが悪いとは、なかなか主観的な感覚ですが、それを「視聴者の印象に残るところ」と一般化するのはどうでしょうか。テンポがいい・悪いとは、アニメで言えば画面に映される出来事と出来事のタイミング・抑揚・ズレなどを感覚的に感じ取った時に出てくる感想で、同じものを見ても、例えばそれが学問的・専門的に素晴らしいものだとしても駄目なものだとしても、見る人によってだいぶ違ってきます。

>それにこのシーンでは、教室内の緊張感もスポイルされていて、えるがなぜ蛮勇をふるったかが曖昧になります。
確かにその通りですが、別にスポイルされてよかったのではないかなと僕は感じます。そもそも千反田は自分の行為を蛮勇だとは思っていませんし、尾道の失態を解き明かして追求してやろうというお話でもありませんでした。コメディタッチの度合いがどう映るかは人それぞれでしょうが、戦術ミスとまでは思えません。

>何か重要な意図があるとも思えないイマジナリー・ライン越えまでやらかしていますし
なんだか話が難しいのでとりあえずググりました。
ググった程度の知識ですが、確かに想定線越えのシーンを確認しました。でも意図ということなら、この2つのカットを見比べると、最初の里志と次の摩耶花の顔はどちらも視聴者から見て左を向いていました。想定線を越えることで、「里志が摩耶花の説教から逃げたがっている」映像になっていたのではないかと思います。二人は立ち位置的には正面から向き合っており(怒られているのだから当然ですね)、想定線を越えないとなると、たぶんこういう絵作りはできなかったのではないかな。コンテマンとしては、イマジナリーライン越えの禁忌を破ってでもやりたい絵作りだったのだと思いますし、また僕は今見返したことにより、「なるほど」と映像に納得させられてしまいました。

>この回と比較すると7話は演出面でのさりげないうまさが光った回だと思います。
なるほどなるほど。いくつかは視聴中に僕も感じたものです。細かい点については、内海紘子の演出的特徴をつかもうとしている僕にとっては面白い指摘だと感じました。

>湯あたりした奉太郎の布団の向きがいつの間にか変わっている点
確認しました。
いやいや、変わってませんよw カメラの位置がまったくの逆になっているので視聴者視点では上下が逆転していますが、イマジナリーライン越えもしてませんし、それに、このシーンをよく見ると部屋の位置関係から摩耶花が折木のために窓を開けたのだなということも推察できます。確認して、むしろ僕の中でよりよいシーンになりました。

>こういうさりげない演出のうまみも評価してもらいたいものだと思って、ここまで乱文ながらあれこれと書いてきました。
や、こういうのをもっと読みたい。
5話のレスで書いた通り、僕は視聴者側の視点を貫きたいのでガチで専門的な話になると耳をふさぎますが、666さんが7話に関して指摘した演出のうまみは面白いです。
2012.06.11 03:09 | URL | #- [edit]
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