氷菓 第6話「大罪を犯す」 感想!
圧倒的な会話劇が気持ちいい。
会話劇
会話劇の面白い作品というのはいくつか思い当たりますね。
最近だと、『偽物語』が当てはまりますかね。『化物語』も含めて、阿良々木とヒロインたちの軽快かつニッチな会話劇が話題を呼び、アニメ史に残る売り上げを見せています。00年代の中期は京アニの時代でしたが、後期から10年代初期まではシャフトの時代と言えますかね。京アニはこの『氷菓』と『映画けいおん!』で時代のリーダーを取り戻せるか。
閑話休題、僕が他に思い当たるものといえば、『紅 kure-nai』です。日本のアニメではほとんど使わないプレスコ(先に声を録ってそれに絵をつける)を採用し、とてつもなく面白い会話劇が繰り広げられていました。『化物語』シリーズが脚本上で面白い会話劇なら、『紅』は声優の演技が面白い会話劇。みゆきち、新谷良子、真田アサミなどが印象的でした。悠木碧が頭角を現し始めた作品でもありますかね。
監督の松尾衡は、来期『夏雪ランデブー』でテレビでは久しぶりの監督。楽しみです。
閑話休題、そして、「会話劇の面白い作品」にこの『氷菓』を加えてもいいのではないか、と今回思うようになりました。
原作がもともとセリフ回しが独特で会話が面白い作品ですが、セリフ回しが面白いだけのアニメは腐るほどあります。ああいや、腐るほどって言ったら語弊があるけどセリフ回しが面白いだけでも十分評価の対象ですけど。
今までだって『氷菓』の会話劇はとても面白かったですが、今回はなんと全編ほぼしゃべり尽くしており、おまけに部室から外に出ないではありませんか!
今まで若干なりを潜めていた会話劇の面白さが、ここにきて表出してきた感じがします。
特にAパート冒頭のくだりが面白すぎました。
何があったか知らないけど里志に大変ご立腹の摩耶花、苦い顔をして何も言い返せない里志、おろおろする千反田。
折木の「疲れないか?」の一言で一休みする摩耶花が可愛いです。
今回の話題は「大罪」について。
七つの大罪って、元ネタはなんでしたっけ?
確かキリスト教? 『鋼の錬金術師』のホムンクルスがこの大罪をモチーフにしていましたね。
僕が興味深いと思ったのは、千反田の考え方。
これらの大罪は、ないものとするのもよくない、と。
折木が「程度の問題か」というようなことを言っていましたが、この考え方は「中庸」と呼ばれるものですね。キリスト教を離れて、こちらは、確か儒教の考え方だったかな?
例えば、「勇気」は美徳だが、これが足りないと「臆病」になり、これが過ぎると「無謀」になる。ほどほどがいい。というのが、中庸の考え方。
僕の思想に影響を与えているものの一つで、わりと普段から実践していたりします。
同じ、とまでは言えないかも知れないけど、千反田と僕は似た考え方をしているようです。なんとなく嬉しい。
今回のお話
尾道はなぜ授業の進度を間違えたのか。
僕なんかはこういうウッカリ間違いを絶対にしたくないので、勘違いしてしまう可能性のある文字は意図的に差別化して書いていたりするのですけどね。aとdなら、dを書く際は思いっきり線を上に伸ばす、などなど。筆記体は書けませんが、gとqを区別するために、qだけは筆記体で書いたりもします。
が、その辺大して気にしない人もやっぱりいるわけで、尾道もそのうちの一人だったというわけですね。勝手に勘違いして勝手に怒鳴るのは、同じく話を聞いているだけの視聴者としては、摩耶花と同様に「尾道が悪いんじゃん!」と思ってしまうところですが、彼は自分にも厳しいということで、職員室に返ってから頭を抱えるのでしょうかね。そう考えるとちょっと萌える。
今回のお話で驚くべきは、アバンの折木の教室のシーンを除いて、部室を一回も出ていない点ですね。『生徒会の一存』ではありませんけども。
なぜ驚くべきなのかというと、第4話では千反田の家の中をあちこち移動していたからです。第4話は、原作では最初に落ち着いた和室で全ての検討会が進行するところ、「動きを見せないと画面がつまらない」ということで、縁側だの台所だのへ移動する展開が見られました。
それが今回は、移動が一切ない。
いやまぁ、お話的にどこに移動させるよという話になるんですけどね。
脚本的に移動が困難だったのだとしても、実際に今回は移動がゼロで、しかし退屈な映像ではなかった。
今回の絵コンテ・演出は坂本一也、原画は描いていないようです。
やはりカメラの映し方に工夫がいろいろと見られました。彼の演出を意識して観察したことはありませんが、今回はもしかしたら、坂本一也らしさが随所に出ていたのかも知れない。
なんというか、工夫はしてるけど工夫しすぎていない感じ?
『氷菓』恒例の折木を謎解きに駆り立てる変則千反田は、今回はなんと大量のチビエンジェル千反田。
坂本一也はもしかして、ミニコンなんですかね?
彼は『CLANNAD』のアフターのEDのだんごの作画を担当していて、そのせいで僕は「だんごの人」って覚えていたりします。
ミニコンかどうかは置いといて、チビエンジェル千反田は可愛かったなぁ。うっかり墓穴を掘ってしまった折木さんお疲れ様です。
折木の心象風景と言えば、チビではないエンジェル千反田が出てきましたが、輝いているようでいて灰色なのが面白いですね。
ちなみに、疲れるから怒らない、というのはなかなか共感のいく感覚。僕なんかも滅多に怒らない人ですが、なぜ怒らないのだろうと振り返ってみたところ、怒るような場面になると「なんか怒るのも馬鹿らしい」と怒りがすぐにしぼんでしまうことが多いような気がします。思えば、疲れるのが嫌だからなのかも知れない。
最近、しぼむことなくガチで怒ったことがありますが、普段怒らないことも手伝ってか、相当疲れました。うむ、やはりあまり怒らないに限る。
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アニプレッション「こんなにも面白い『氷菓』の世界 第6話」は、5月29日の夜から深夜にかけて投稿予定です。
(5月30日1時38分)投稿しました。合わせてどうぞ。
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つぶやき
「閑話休題」の使い方ってこれで合ってるんだっけ?


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