氷菓 第8話「試写会に行こう!」 感想!
エピソードの導入。会話もりもり。
ミステリー
いやぁ、分かりやすくミステリーになってきましたねぇ。ミステリー映画の結末を解き明かそうというミステリー。メタフィクション性もあって面白いです。
となると、原作を最近読んだばかりの僕はネタバレに気を付けないといけないわけで。アニプレッションの記事で客観的に情報を整理するならまだしも、この記事では細心の注意を払うとします。
前回の時点で「そうなるだろう」という予想はつけていましたが、やはり情報量がとんでもない回でした。今回出てきた情報のほとんどはのちに再整理されるので、見逃した・聞き逃した、ということがなければ把握が追い付かなくても特に問題はないと思いますが、見るのが大変ではありました。
思えば、原作でこの話数に該当する部分は、何度も何度も読み返して情報を整理しながらページを進めていました。本の最初に廃屋(分かりにくかったけどあれは劇場ですね)の見取り図があったので、行ったり来たりも激しかったです。
こうなるといよいよ、ユーザーが自分の意思で中断することが原則できないアニメは媒体として不利。
さて今回はどうでしたでしょうか。
映画が下手面白い
『涼宮ハルヒの憂鬱』の「朝比奈ミクルの冒険」は面白かったですね。放送形態によるトリッキーさを抜いても、素人が作った自己満足映画のダメダメさがよく表れていて、下手くそな映像が逆に超面白いという妙な化学反応が起こっていました。
今回の映画も「素人制作」という点では同じだけど、物語における役割がだいぶ違うので、単純比較はできませんね。
それでも比較するなら、ハルヒの方はほとんどネタだったので、「素人が作ったらこうなる」ではなく「ハルヒが作ったらこうなる」という具合で、映像的な気持ちよさを優先していた感じでしたが、一方こちらはあくまでも作り手は大真面目(ハルヒも大真面目でしたが)、本気で素人臭さが出ている作風となっていたので、作中作として比較するなら、ハルヒの方が圧倒的に面白いです。この頃のヤマカンは偉大。
しかしこの下手くそっぷりはクセになりそうです。
というのも、どこがどういいというのは説明しづらいのだけど(そもそも「よくない」のでw)、この映像、一番のポイントは撮影機材がハンディカメラというところです。
映画なりドラマなり、実写作品を撮る場合、カメラはほとんど固定ですね。固定したまま機材でスライドさせたりはするでしょうが、人がカメラを持って撮影するカットはそんなにないはずです。
しかし自主制作だとハンディカメラくらいしか用意できませんから、どうしても映像がブレブレになってしまいますね。まぁそれでも固定する方法はちゃんとあるはずですが、その辺含めて彼らは素人だったということで。
問題は、アニメの場合は実写以上に固定が多いということ。
パン(カメラを上下左右に振る)はよくあるけど、カメラ位置が前後移動することはほぼありません。背景動画という技術を使うとこれが実現しますが、これは大変な作業量を必要とするので滅多に見られませんね。近年の作品で代表的な背動は『ソウルイーター』の前期OPでしょうか。
まぁ、単なるズームイン・アウトでもカメラの前後移動は見られますけどもね。
そして、ハンディカメラを手に持ったまま撮影するとなると、それはどうしてもカメラの前後移動を伴います。
これをアニメで表現するというのは至難の業ですが、今回はこういうカットがあちこちにありました!
さすが京アニと言うべきか。
なんだろう、確かに3DCGを使っているのだろうけど、パッと見では普通に手描きで作画しているようにしか見えないこの撮影技術は驚愕ものです。
この技術は『氷菓』のあちこちで見られましたが(第4話の自転車のシーンなど)、今回はこれが随所に見られて、もう大興奮でした。
特に、みのりんの役の子が見取り図を見つけるカットはやばかった。何アレ恐ろしい。
このとんでもない技術で、下手くそな映像を撮る。
上手くこの感覚を説明できないけど、これがとてつもなく刺激的で、すげぇいいです。
今回の絵コンテ・演出は、京アニベテランの一人、北之原孝將。
物語的にあまりにも情報量が多すぎたので、映像演出を吟味する余裕がありませんでした。
映画は本当にすごかった。
反対に、作画監督の丸木宣明。作画監督としてクレジットされ始めたのは比較的最近だと記憶していますが、修正が甘い印象を受けました。あくまで他の作監との比較の問題で、アップの絵は相変わらずの素晴らしさなのですけどね。
あと、あまりこういう指摘はしたくないのだけど、ラストカット(古典部メンバーが教室に入って探偵役3人と顔を合わせるカット)がびっくりするほどのレイアウト崩壊でした。そんなの気にせずに視聴していても気付くくらいだから相当だと思います。映画シーンのクオリティが半端なかったので、修正する時間がなかったのかな、と想像。
そういや原画マンもやたら少なかったですね。関係は……ないか?あるか?
今回のお話
神高祭の準備に追われる中、古典部が2年F組の自主制作映画の試写会に招かれるお話。
アバンで、その経緯が描かれました。打ってるのは入須先輩でいいとして、Lは千反田、あ・た・し♪は……まぁ折木共恵でしょうね。原作でも明言されてませんがまず間違いないでしょう。そうしてまた姉の手により踊らされる折木。入須先輩が「効率的」という言葉を使って折木を納得せしめたシーンがありましたが、そのあと思わせぶりな間があったので共恵の入れ知恵かも知れませんね。
最初にメールのやり取りをしていたのは、まぁ本郷さんでしょう。
なにやらよろしくない雰囲気。
F組の陥った状況は、のちに説明されましたね。自己満足はいいが、完成しないのでは自己満足もままならない。
結局、入須先輩の口八丁に乗せられる形で協力することになってしまいました。
里志が「彼女の周りの人間は、いつしか彼女の手駒になる」と言っていましたが、これは自虐だったのだろうか。
あまりの暑さにサボろうとした折木を迎えにきた千反田には吹いた。
今回は基本的に4人が一緒に行動していたから、会話もなかなか軽快でよかったです。だいたいは里志がしゃべってるんだけど、里志好きなので無問題、いいぞもっとしゃべれ。
古典部への伝令役としてやってきたのは、江波倉子さん。淡々としゃべる中でも、悠木碧の独特の抑揚がふっと現れるところはすごくよかったなぁ。倒れてしまったという本郷さんを「親友です」と語るシーンですね。
クレジットでも入須先輩と並んでいるし、毎回最後に挿入される小見出しにも「Why didn't she ask EBA?」とあるしで、重要人物なのは確か。
今回は、探偵役の3人と顔を合わせたところで終了ですね。
沢木口先輩キター! 謎ヘアースタイルキター!
伊瀬茉莉也が声当てるのですげぇ楽しみです(ソッチカヨ
エピソードとしての面白さという意味では、本番は次回からとなりそうですかね。オブザーバー(観察者)としての古典部の面々の活躍に期待。
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アニプレッション「こんなにも面白い『氷菓』の世界 第8話」は、6月11日の夜から深夜にかけて投稿予定です。
(6月12日2時16分)投稿しました。合わせてどうぞ。
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つぶやき
そういや、金環日食も金星の太陽面通過も見ていない。


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