氷菓 第13話「夕べには骸に」 感想!
神高祭1日目終了!
メリハリのメリ
クイズ研の描写には期待していたのですが、いい意味で期待外れでした。
いやぁ、なにあのグダグダ感はw 里志が「そのタメもういいよ」って言う気持ちがよく分かります。尺を贅沢に使ってるなぁ。
フィクション作品において、文化祭を描写する方法って大きく分けて2つあると思っています。
1つは、あらゆる想像力を総動員してとにかくお祭り感を盛り上げ、視聴者や読者にもその雰囲気を楽しんでもらう方法。多くのアニメの文化祭はこの方法で描写されますね。前回もこんな感じでした。京アニは、この技術においてはアニメ界一の力量を持っています。あんなにモブを動かせる会社は他にはない、せめてP.A.がCG使って遠景で頑張るくらい?
もう1つは、逆に描写のレベルをダウンコンバートする方法。もっと言えば、「等身大の文化祭」感を出す方法です。
アニメの文化祭なんてやたらレベルが高いのがなかばお決まりですが(『アマガミ』のガンダムとかw)、実際の高校の文化祭なんて、確かにあっと驚くレベルの出し物もあるけど、たいていはガキの自己満足。入須じゃないですが、自己満足の許される世界で自己満足しまくるのが文化祭なんですよね。
これに非常に優れていたのが、『とらドラ!』でした。主人公・竜児たちのクラスはプロレスショーをやったわけですが、アクロバティックな動きをするために黒子を導入しており、なんともお粗末な舞台でありました。しかしこの手作り感がとても高校生らしくて、僕は逆に感動したものです。
今回の『氷菓』がまさにこれですね。BGMまで極力抑えて、確かに場の雰囲気は楽しそうなんだけど、「ああ、お祭り騒ぎでハイになってるんだなぁ」と視聴者は高いところから俯瞰しちゃうわけです。無駄なタメ、タメを作るにしてももうちょっとなんとかならなかったのかと思える動き、でもステージのライトなどの作り込みはすごかったりして、このアンバランス具合がなんとも言えない!
それは「そのタメもういい」とつっこむ里志にも言えて、古典部の宣伝を見事に果たしてくれたのは大した仕事でしたが、ところどころ回っていたあれは一体なんなんだw
そういえば前回でも里志が笑い転げていたお笑いのシーンは視聴者にはなにが面白いのかまったく伝わってこないシーンで、里志に関しては徹底的にこの流れが作られているような感じがします。メリハリのメリ担当。なにこれある意味損な役回りじゃないかw
同じ舞台でも、千反田が飛びました回りましたとはしゃいでいたブレイクダンスのシーンは作画にも気合いが入っていて視聴者に「すごさ」が伝わるシーンでした。やっぱり差別化されとる。
メリハリのハリ
とまぁ、文化祭の等身大感を演出するのはよろしいのですが、等身大感を出しつつ盛り上げるのがすげぇ上手かった『とらドラ!』と違って、ともすればあくびが出てしまいそうなシーンの連続でした。折木じゃないですが。
「この作劇でいいのかなぁ」なんて、途中までは思っていたのですが、メリハリをつけるためだったんですね。普通メリハリって、もう少し短いタイムライン上で行うものだと思うのですが、1話まるごと使ったメリハリとは、武本監督らしいと言えばらしい。
そのハリの方は、言わずもがな、摩耶花 vs 河内先輩。
漫研の雑誌の捌けがあまりよくないからって、この人一体なにがしたいんでしょうね。自分の発言が部の雰囲気を悪くしているのに気付いていないタイプではなくて、たぶんこの人それを自覚した上で言っていますから、なお始末に負えないというか、明らかに摩耶花を狙って挑発していたというか。
河内先輩の言っていることは、理屈は分かります。確かに我々は普段なにかを鑑賞する時、十人が十人違う感想を持つ。方や大絶賛、方や大不評だというのは、感想ブログを書いているとざらにあります。
ならば、作品の面白さを決めるのは作品そのものじゃなくて、ユーザーの主観なのだ……というのが、河内先輩の言い分。
ごく一般的な考えだと思います。僕もその通りだと思える部分はあるし、それに、どんなに名高い名作にだってアンチは必ずいる。人間は所詮主観なんですね。客観的に自分を見られるのは福田元総理だけです。
でも、この考え方はひっじょーにつまらない。
特に、「これはすごい!」とガツンとやられた経験のある、摩耶花のような人間にとっては。
作品の面白さはその作品が決める。でないと、創作している人たちは大変つまらない。結局は人に評価されるかどうかだけが作品の価値だというなら、創作する意味なんて見出せません、少なくとも僕は。だれにでもガツンと納得させる、最高の作品を作るつもりでクリエイターはいつも創作をしている。
そもそも、この問題は一元論では語れないはず。
河内先輩論にも摩耶花論にも一理がありますが、どちらも意見の押しつけだけになると議論にならない。
まぁ、わざわざ部の雰囲気を悪くしてくれた河内先輩に立ち向かった摩耶花の方に一応の正当性はありますけどね。妥協点を持ってきてこれで駄目なら引きますと、ちょっと大人な対応。
一番の勝利者は2人の喧嘩を見世物にして文集の売り上げ拡大を図った湯浅部長ですけどねw
可愛い顔して強かなことだ。
しっかし、「ふくちゃんなら信じてくれるよね」って心の中では好きな男に寄り掛かる先を求める摩耶花が愛しすぎてたまらない。ただでさえ文集の誤発注で落ち込んでるところに河内先輩の挑発、それでも立ち向かってしまうところが悲しい性ですが、少し弱気になってしまう摩耶花が可愛いです。
でもこれで、氷菓を置いてもらえる雰囲気では完全になくなってしまいました。あちゃー。
サブタイにもなっている、摩耶花が河内先輩に見せてやろうと意気込んでいた『夕べには骸に』
なぜか部屋にありませんでしたね。占い研や囲碁部などから物品が盗まれた件と関係……は、さすがにないかw
一生懸命探して、「なんでないの?」とベッドにぽつーんな摩耶花がまた可愛い。
あれだけ啖呵切っておいて、ありませんでしたでは格好がつかないどころの騒ぎではないので、また摩耶花のストレスの種が増えることに。これは翌日学校行きたくないね。
河内先輩は、どうも『夕べには骸に』を知っているようでしたが。
その他いろいろ
新OPが公開されました。
映像の美しさでは旧OPの方が上だけど、なにこのOP面白いw
ホワイトボードを始め、ガラスの映り込みの世界に閉じ込められた折木がいろいろな人たちを見ていく構成……ということでいいのかな。
入須や、今回初登場した十文字かほ、などがいるのはいいんだけど、沢木口がいました。マジかよw
だれにも気付かれずに彷徨っていると、古典部の部室にて3人に発見される、というプロットはなかなかステキ。折木の夢だったというオチでしたが、つまり折木は3人を「自分を見付けてくれるよい仲間」だと感じているということですね。
千反田がガラスの中から折木を引っ張ってくるところは鳥肌。お決まりの波紋演出が最高にバッチリ決まってる!
絵コンテ・演出は、もちろん監督の武本康弘。さすがすぎます。
作画監督が西屋太志なのも当然として、意外だったのは、EDと違って、原画マンが3名を除いて全員がアニメーションDoのアニメーターさんたちでした。
本編の方では、アニメオリジナルの追加要素が光ります。
前回千反田が写真部につかまったのはアニメオリジナルでしたが、なんと今回折木さん、千反田の戦利品の山から覗いている写真の絶対領域(←ここ重要)に釣られて千反田のコスプレ写真を鑑賞!w
なにやってんのw
そしてそのことが本人にバレてしまうという。ご両人とも可愛すぎてニヤニヤしすぎて頬骨が変形してしまいそうです。
次回も楽しみだ。というか、次回が楽しみだ。次は「ワイルド・ファイア」、お料理研のイベント! 原作ファンが待ちに待ち望んだエピソードですねー!
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アニプレッション「こんなにも面白い『氷菓』の世界 第13話」は、7月17日の夜から深夜にかけて投稿予定です。
(7月18日3時8分)更新しました。合わせてどうぞ。
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つぶやき
買ったはいいけどほとんど使っていないPSP、ときどきいとこが来て遊んでいたんだけど、最近来ないのでだいぶ埃かぶっちゃってます。可哀想に。


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