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雑記2

オリジナル中編小説 『僕だけは君のために』 をアップしました!

僕だけは君のために 表紙4

小説の冒頭部分を掲載しています。面白いと思ったら、是非続きを読んでみて下さい。

 
 
 
ネットにアップするのは久しぶりになります。
『僕だけは君のために』です。

タイトルからなんとなく分かると思いますが、恋愛ものです。
しかもその中でも恋愛に特化した純愛ストーリーです。
この神酒原、ここまでの純正ラブストーリーを書いたのは初めてです。なので書きながら自分でドキドキしてました。恋のパワーってやばいよね。

今回はFC2小説と、イラストを描いて下さったヨークさんの勧めでPIXIVにもアップしました。

【FC2小説】 僕だけは君のために

【PIXIV】 僕だけは君のために 前半
(後半はページ内上部にリンクがあります)

是非、お好きな方でどうぞ!
FC2小説は、字が小さめでページ数が多いです。1ページ約1,000字で合計44ページ。サービス登場時に比べて、だいぶ読みやすくなりました。
PIXIVは、字がかなり大きいです。ある意味読みやすいけど、僕は慣れません。1ページでかなりスクロールします。合計6ページ。

以下、冒頭部分です。




 十二月に入って、もうかなり寒くなってきた。布団から出るのが辛いし、風呂から上がるのも辛いし、家から出るのも辛い、そんな季節だ。かくいう僕も今日は本気で出かけるのをやめようかどうか迷った。まぁ本当に家から出なかったら姉が寂しがるので、どうにか気力を振り絞って出たのだけどね。
「さむ……」
 もう何回呟いただろうか。風が吹くたびに体がブルブルと震えて仕方がない。僕は人より寒がりで、「そんな重装備でもまだ寒いの?」と呆れられた回数は途中で数えるのをやめている。
 目的地は本来ならバスを使って行く距離にあるのだけど、僕は体を温める意味もあって歩いていた。徒歩だと一時間ほどで到着する。
 着いた。病院だ。
 見上げるような大きな病院である。気温の変化にやられて姉が風邪を引き、運の悪いことに肺炎を併発してしまったので、入院しているのだ。今日は土曜で、父と母は仕事なので、僕が見舞いに来ているというわけだ。
 病室に入ると、姉は寝ていた。「顔出さなかったら泣いちゃうからね」とか言っておいて、これでは顔を見せられないじゃないか。今の時刻は三時、昼寝の時間ということなのだろう。僕は起こそうかどうか迷ったけど、しばらくは放っておくことにした。
 こんなこともあろうかと、僕は本を持ってきていた。特別読書好きということはないけど、人並みには読む。……あれ、人並みって、一般的にはどれくらい読むのだろう。
 姉がなかなか目覚めないので、僕はかなりのページを読み進めた。正直、しばらくの間姉のことをすっかり忘れていた。
 そろそろクライマックスというところまで来て、僕は時計を見上げた。もう四時を過ぎている。なんだか姉はまだ目覚めそうにない。今日はもういいかな、と僕は帰ることにした。結局なにをしに来たのか分からない感じになったけど、中途半端に起こしても悪いし、明日また出直そう。
(さすがに、書き置きくらいはしておくかな)
 僕はメモ帳を一ページ千切って、見舞いに来たけどなかなか起きないから帰るよという旨の内容を書き置いた。姉は「起こしてよ~」と言うかもしれないけど、普段から姉の寝起きの悪さに苦労している僕はあまり自らの意志で姉を起こしたくはない。蹴りが痛いのだ。
 上着を着込んで、僕は病室を出た。帰りはバスを利用しようかどうか考えながら歩いていると、ふと窓の外に気になる風景を見付けた。
(何してるんだろ……)
 病院の中庭に車椅子の少女がいるのだけど、なんだか屈んでふるふると震えているように見える。もしかしたら急患かもしれない。僕はとりあえず様子だけでも見に行くことにした。
 一階に降り、中庭に出る。L字型の病院の中庭は花壇が綺麗に整備されていて、公園のようだ。普段は患者さんで賑わっていそうな雰囲気があるけど、今は車椅子の少女一人しかいない。小走りで近付くと、腹痛で屈んでいるというよりは、なにかを拾おうとしているようだった。地面にはネックレスが落ちている。
 急患でないことにホッと一安心し、僕は少女の代わりにネックレスを拾ってあげた。突然現れた僕に少女は驚いたようだけど、僕を見上げて、ネックレスを見て、慌ててお礼を言った。
「あ、ありがとうございます」
「大切なものだったら、落としちゃ駄目だよ」
 僕はそう言ってネックレスを渡した。そのまま帰るつもりだったけど、姉へのお見舞いがスカだったということもあって、僕は少し少女と話をしたくなった。なにもしないで帰るよりは、ちょっとくらいおしゃべりをしてから帰りたい。
「綺麗なネックレスだね。貰い物?」
「……はい、お母さんから」
「へぇ。誕生日プレゼントかなにか?」
「病気が早くよくなるように、って」
 なるほど、お守りか。それは必死になって拾おうとするわけだ。少女はネックレスを着け直して、僕を見上げた。
「私、森木凛って言います。あの……」
「長井陽介、十七歳。君は?」
「十七です」
「じゃあタメ口でいいよ。その方が楽でしょ?」
「はい……うん。じゃあ、タメ口で」
 そう言って、凛は笑った。その笑顔がとても綺麗で、僕は頬が少し熱くなるのを感じた。
「ここにはよく来るの?」
「雨とか雪が降らなければ、だいたい毎日」
 ということは、入院生活は長いのかもしれない。あまりその辺の事情は聞かない方がいいだろう。人によってはコンプレックスになっているかもしれないし。
 しかしそうなると、僕は言葉に詰まってしまった。僕はもともと口がよく回る方ではない。どうしようか少しだけ考え、今日はもう帰ることにした。あまり時間を取らせても凛に悪いだろう。寒いし。
「早くよくなるといいね」
「うん。ありがとう」
「じゃあ、僕はそろそろ帰るよ」
「またね」
 手を振って、別れる。ちょっと名残惜しいけど、姉が入院している間はいつでも会えるだろう。今日はステキな女の子と知り合えたというだけで、十分な収穫だ。姉が寝ていてくれて感謝である。きっと姉と普通におしゃべりしていたら、ネックレスを拾ってそのまま別れていただろうから。


 
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