境界の彼方 #5「萌黄の灯」 感想!
みんなひとり。
感想
今回はなんだ、未来がみんなをたらし込んでいく回?w
秋人がもう落ちてるのはいいとして、なぜか博臣にまで好評、そしてメインとなるのは美月。前々から未来のことは放っておけないと感じていたフシがあったようですが、今回はその無邪気な様子に完全にやられてしまったようですな。美月さん末っ子だけどお姉さんみたい。
本物のお姉さんであるところの泉さんは得体が知れないというか、怖いですなぁ。でも、未来の異界士証?を預かった時は雰囲気だけならミステリアスだったけど、言ってることは全部普通のことだったという。
それに気になるのはやはり兄弟仲。
同じ部屋の中に兄弟3人がいるシーンがあったのに、泉さんと下2人が会話するところがついぞありませんでした。
美月の回想シーンではありましたけど。
秋人が未来に「追放されないだけよかった」ってフォローしてるところでも博臣の反応が気になります。お話してる時もソファでだべーってしてて興味なさそうだったし、少なくとも博臣は長女にいい感情を抱いていない?
まぁ名瀬家の詳しい事情はきっと語られるその時を待つとして。
今回のテーマは「ひとり」ですか。
いや、素晴らしかったと思います。前回、人間関係のドライさについてみんなに遅れて学んだ未来がみんなの先に行ってしまうところが実に素晴らしい。
今まで未来は「自分だけが他人と関わっちゃいけない」と思っていたことが直接語られました。これは僕が感想記事で言ってきたことと合致して、思わずガッチポーズ。違う、ガッツポーズ。
「なんで最初は秋人につきまとったの?」という突っ込みがいろんなブログで見られますが、よく考えてみればあれはどう考えても「嫌われる行為」、未来としてはすごくドライなつもりだったのでしょう。結果的に秋人が離れていくことを想定してた。そうならなかったから戸惑った。
そして未来は秋人が「ひとり」じゃない、仲間がいるのだと思っていたのですが、その秋人だってまともに仲間と呼べる人間はいなかった。
普段は仲よくしているようでいて、問題になればすぐさま処分される関係。
ここで未来はひとつ学んだのだと思います。なにも自分だけが特別なわけじゃないことを。
思えば、これは上手いなぁと思うんです。
栗山の血族の能力、これは異界士界隈では嫌われているわけですが、アニメ感想ブロガーの間ではたぶんそんなに納得されてないですよね。僕もしてないです。もう少し詳しく言うと、周りへの被害が甚大すぎるために確かに好かれはしないだろうと思うものの、未来があんなにまで自分を卑下する理由としては弱い。
でもこれは弱くてよかったんですね。
だって本来、特に自分を卑下することではなかったのだから。
極論を言ってしまうと、他人より少し不細工、他人より少し頭が悪い、その程度のことなのでしょう。異界士として共同作戦を張るには少し躊躇われる、たったこれだけのこと。
泉さんが今回言っていたように、「呪われた血の一族」という呼び方は異界士界隈に広がっているようですが、これは他の原因もあるのだと思います。
例えば、共同戦線は張れないので栗山一族は自分たちだけで妖夢狩りを行っており、その態度がすごく冷血に見えたので周りからさらに距離を置かれた、とか。
結局はその人が相手を認められるかどうか。血の能力が厄介だというのは、実は大したことないのです。
ひっくるめて、「自分だけが特別ではない」。
前回のラスト、秋人が「僕は普通の人間に見えるか」と聞いたのは、これを未来に教えるためなのでしょう。よくできています。
そして「ひとり」のテーマに戻ってくるんだけど、美月は「ひとりじゃないなんて、簡単に思うのはよくないわ」と言いました。
未来が自分のことを「ひとり」じゃない、という言い方をしたので釘を刺した形ですね。秋人はあれで「ひとり」なんだよ、と、まぁ前回秋人自身が言ったことと同じことですけど、とにかく美月は「私たちはみんなひとり」と考えているようでした。
その根底にあるのはお姉さんの教えかな。
異界士はずっとひとり。そう教え込まれ、実際友達と遊ぶこともなくなった美月は強くそう思うようになったのでしょう。
たぶん、美月はこの考えを人に押しつけるような子じゃないと思うんだけど、未来に言ったのは未来が同じ異界士だからかな。あとは呪われた血の一族だからか。確かに未来は、異界士として生きていく以上はディスアドバンテージが多くなるでしょう。
美月の言いたいことが分かる未来は「それは、そうですけど……」と口を濁します。
そしてラストがすごくよかった。
みんな「ひとり」だから。
うーん、素晴らしい。
みんな「ひとり」だから助け合い、一緒にいるのだと、未来は言いたいのですね。
確かに秋人たちは、無条件でお互いを助け合う仲間ではないのかもしれないけど、でもみんな「ひとり」だから、「ひとり」じゃなくなろうとする。
秋人は半妖、だから危ない。
未来は血の一族、だから嫌われる。
でもそれは物事を一般化した時に言えることであって、個々人の関係性においてはさほど問題ではないのですよね。
みんな「ひとり」だから繋がろうとする。
彼ら4人は、半妖、血の一族、名瀬家の人間……の前に、神原秋人、栗山未来、名瀬美月、名瀬博臣なのですから。もう少し素直になればいいんです。
前回の1万円札の時や、今回のホットケーキなど、ひねくれてるつもりでも素直さが出てしまう未来だからこそ、ここに行きつけたのかもしれませんね。
そして美月も、もう少し歩み寄ってみることにしたのでした。「リンゴ飴食べたい」と聞いた時の博臣の顔は面白いと同時になんだか少し感動もあります。
やっぱりこの作品、いろいろ考えてみるとちゃんと見えてくるなぁ。面白いです。
ところでそれはそれでいいとして、なんで名瀬家の人間は灯篭祭りに行っちゃいけないのん? そこんところの客観的な理由があると、今回のお話の説得力も上がったと思うんだけど、なんかみんな暇じゃん結局w
今回他に印象的なことと言えば、妖夢を躊躇いなく狩れるようになった未来ですね。
画面見ながら「強ええええええええ!」って思ってしまいましたよw いやぁ、「はあああっ!」って気合い入れてからのあのタメは素晴らしかったです。この汎用性の高さ、未来ってマジで強いんだなぁって再認識です。
今回の絵コンテ・演出は山田尚子。石立監督や武本康弘とはまったく違うアクションで面白いですなー。武本康弘(前回の人)が絵コンテ切ってたら、今回の妖夢もばんばん動き回っていっこずつ斬っていく感じとかになってたかもしれない。
そして美月の戦闘が見られたのが個人的に収穫!
妖夢の使い魔を使うだけではなく、檻も作れたんですねー。博臣の妹なんだなーと。
でもなんか結界張るのに少し時間かかってたような。異界士としては兄貴の下位互換なのかなー。
毎回こんな風に必ずバトルを入れてくるこの作品ですから、美月がガチで戦うところもいつか見られると思うので、楽しみにしたいです。
でもなんか、ただなんとなくだけど、その時は美月最低でも大怪我を負いそうな予感。


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